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2013 年度 実績報告書

ジェイムズ・ジョイスの創作に及ぼしたアイルランド文学ルネサンスの影響

研究課題

研究課題/領域番号 23520331
研究機関法政大学

研究代表者

結城 英雄  法政大学, 文学部, 教授 (70210581)

キーワード英米文学 / アイルランド / ジェイムズ・ジョイス / 文学ルネサンス
研究概要

本年度は最終年度でもあり、ジェイムズ・ジョイスの創作に及ぼしたアイルランド文学ルネサンスの影響をめぐり、レイディ・グレゴリー、W. B. イェイツ、さらにジョージ・ムアについて論じた。研究成果については、法政大学文学部の紀要、学会、ならびにいくつかの論集に発表した。
レイディ・グレゴリーはジョイスとは無縁の文学者と考えられているが、ジョイスを支援したばかりか、その創作にも少なからぬ影響を与えた。特に、グレゴリーが収集した民話はジョイスが神話的手法を展開するうえで、裨益するところが大であっただろう。そこで両者の共通する問題を作品を通して検討した。また、W. B. イェイツについてはジョイスの敵対者という相貌が濃厚であるが、ジョイスの作品のいたるところに、その影響が刻印されている。これまでジョイスに取り込まれているイェイツの作品の意義を論じてきたが、本年度はイェイツとジョイスの文学的な経歴を比較することで、両者の共通する部分を析出できた。さらに、ジョージ・ムアの『一青年の告白』について詳細に論じることで、ジョイスの自伝的小説である『若い芸術家の肖像』への影響についても検証した。ムアのパリ、ロンドン、ダブリンという都市との関わりは、ジョイスにとってのダブリン、トリエステ、チューリヒ、パリといった都市と類似するところも多い。
本年度は、このようにアイルランド文学ルネサンスを支えた3名の文学者とジョイスとの関わりを論じ、ジョイスが主要4作でダブリンへ固執した意義を深化することができた。ジョイスの文学が大陸のモダニズムの動向と連動していることに相違はないが、本研究によりその創作がアイルランドの文学事情と無縁でないことが判明したはずである。なお、ディケンズの文学をオーストラリア側から捉え、ジョイスにとってのアイルランド事情を深化することができたことも付記しておく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 『アイルランド文学ルネサンスとジェイムズ・ジョイス(5)」2014

    • 著者名/発表者名
      結城英雄
    • 雑誌名

      『法政大学文学部紀要』

      巻: 68 ページ: 59-70

  • [雑誌論文] 「『ユリシーズ』を読む―100のQ&A (14)]2013

    • 著者名/発表者名
      結城英雄
    • 雑誌名

      『すばる』

      巻: 7月号 ページ: 286-300

  • [雑誌論文] 「アイルランド文学ルネサンスとジェイムズ・ジョイス(4)」2013

    • 著者名/発表者名
      結城英雄
    • 雑誌名

      『法政大学文学部紀要』

      巻: 67 ページ: 27-38

  • [学会発表] 「『ユリシーズ』をめぐるナボコフの文学講義」

    • 著者名/発表者名
      結城英雄
    • 学会等名
      日本ナボコフ協会
    • 発表場所
      東京都・東京大学駒場キャンパス
  • [図書] 『英文学と他者』(ピーター・ケアリーの『ジャック・マッグズ』を読む―ディケンズのアイルランド表象への異議)2014

    • 著者名/発表者名
      二十世紀英文学会(大熊昭信・結城英雄・倉持三郎・他6名)
    • 総ページ数
      232 (77-94)
    • 出版者
      金星堂

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公開日: 2015-05-28  

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