本研究課題の最大の目標であるワイルドとドレフュス事件の関係を織り込みながらワイルドの評伝としてまとめることは、26年度にて完了した。したがって今年度は、その後のフォローをしながら、ワイルド裁判をイギリス同性愛史のなかに置きなおすという研究を中心としながら、さらにそれを次の世代へとつなげる可能性について研究した。ハヴロック・エリスとウィリアム・モリソンの関係を、生来性犯罪者説を中心にたどりなおそうとしたが、確たるものは出てこなかった。 ワイルドと夏目漱石の関係を漱石の資料から辿りなおす研究を論文にまとめて発表した。 ワイルド裁判をイギリス同性愛史に位置づける研究は、11月の日本ワイルド協会にて発表したが、現在さらにその研究を継続中で、夏までに論文としてまとめる予定である。 またクラフトエビングを中心に同時代の大陸の同性愛史についても研究を進めており、次の課題へとつなげてゆく予定である。
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