研究課題/領域番号 |
23520335
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 富久子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00063751)
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研究分担者 |
平石 妙子 共立女子大学, 国際学部, 教授 (80060705)
河原崎 やす子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (80341808)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アジア系アメリカ文学 / 幽霊物語 / ゴシック文学 / 中国系文学 / 韓国系文学 / 日系ハワイ文学 / フィリピン系文学 / フェミニズム |
研究概要 |
今年は、本研究の初年度にあたるため、主として本研究の予備作業を行った。 まず研究代表者の小林は、「幽霊物語」の概念構築を行うべく、主に国内で膨大な量の当該テーマに関わる主要文献調査を行った。それらは主として以下の三種に分類できる。(1)ゴシック文学関連(例 H.P. ラヴクラフト『文学における超自然的恐怖』等)(2)エスニック関連(例 カスリーン・ブローガン『文化的憑依:『最近のアメリカ文学における幽霊とエスニシティ』等)(3)フェミニズム関連(例 トリン・T・ミンハ・『別のどこか、ここの中のどこか』等)。他にもアジア系作家による「幽霊物語」の一次的テクストとして主に小林の担当領域である中国系・韓国系の作品を調査・分析した。 次いで、共同研究者の平石は、1911年2月24日から3月2日までアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校に滞在し、主としてハワイの日系文学関係の資料収集を行った。また、日系移民史についても、日本では入手のむずかしい資料を多数集めることができた。 同じく共同研究者の河原崎もアメリカに赴き、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて、主にフィリピン系文学に関する新たな資料発掘および研究者たちとの交流を行った。また、2011年7月23日から24日まで名古屋市で開催されたアメリカ学会南山アメリカ研究セミナーの歴史部門に参加、フィリピン系学者によるフィリピン史関連の講演などから最新情報を得た。 最後にやはり小林、平石、河原崎が科研費によって共同研究を行った成果として、本科研費プロジェクトにもきわめて関連の強いテーマである『アジア系「基地文学」の系譜ーー戦争・記憶・語り』と題する報告書を1911年9月に公刊し、関係各所に配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の達成度を、やや遅れている、としたのはひとえに、研究代表者の小林が、健康上の理由をはじめとするさまざまな事情から、当初の予定通り、アメリカおよび東アジア(儒教)文化圏への出張調査を達成しえなかったことによる。 但し、それを補う研究活動として研究実績の概要にも記載したように、国内にて、膨大な量のアジア系「幽霊物語」関連の批評書を調査することで、同テーマの概念構築を行いえたことは、大きな収穫であったことを付記しておく。 ちなみに、共同研究者の平石、河原崎はともに、予定通り、アメリカに出張し、多量の意義ある資料収集を行いえたので、今後の研究はスムーズに進むことを確信している。
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今後の研究の推進方策 |
達成度の箇所でも記載した通り、研究代表者の小林は何よりもまず、初年度に予定していたのに果たせなかったアメリカ及び東アジアの儒教文化圏の各国に出張・滞在し、文献調査を行うとともに、現地の研究者たちと意見交換をする予定である。また、できる限り、作家とも会い、インタヴューをすることで、各々の「幽霊物語」への取り組み等についての聞き取り調査を行いたい。 共同研究者の平石に関しては、引き続き、アメリカにて日系ハワイ人文学の文化的背景の調査を行う。 河原崎に関しては、主に初年度の出張で得た調査結果を解析することに時間を使うが、できル限り今年度はフィリピン現地に赴くことを希望している。
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次年度の研究費の使用計画 |
前項でも触れたとおり、本年度研究費のかなりの部分は、研究代表者が初年度に果たせなかったアメリカ及び東アジアの儒教文化圏での滞在のために用いる予定である。また、引き続き、文献の購入にも用いる。さらに映像関連の作品にも幽霊物語を扱うものが非常に多いので、関連のDVD購入のためにも研究費を用いたい。
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