16-17 世紀イングランドにおいて、演劇がパブリック圏創出の場となり、人の意識およびイングランド社会の近代化の一要因となった、そのメカニズムの検証を行った。複数の演劇作品および各種資料の分析を通じて、民衆儀礼シャリヴァリなど示威行為や復讐の表象から、近代的個人の権利や正義の意識を検証した。近代初期人が自律的に振る舞い、その自己認識の形成には、演劇という媒体の文化的要因があったという議論を、6本の論文において行った。最終的に、パブリックおよびパブリック圏の観点から、演劇の集団的受容経験を通じて、観客がコミュニケーション・ネットワーク持ちえ、それが近代初期文化の生成に関与したという結論に至った。
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