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2012 年度 実施状況報告書

シェイクスピア演劇とイスラム世界

研究課題

研究課題/領域番号 23520340
研究機関同志社大学

研究代表者

勝山 貴之  同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)

キーワードシェイクスピア / イスラム / インド / 地中海 / 他者 / アイデンティティ
研究概要

この研究は、地中海貿易をとおしてイングランド人がいかなる異教徒と遭遇し、そうした他者との遭遇によって、いかにしてプロテスタント・イングランド人としての自己を確立しえたかという問題を、シェイクスピアの劇作品の分析から解明しようとするものである。
平成24年度は、23年度に引き続き資料収集をすることにより研究を進め、近年出版された文献の収集をおこなった。ここ数年の間に、近代初期におけるキリスト教世界におけるイスラム教世界の影響が脚光を浴びるようになり、研究書の出版や論文の発表が相次いだ。近代初期ヨーロッパにおけるオスマン帝国の勢力をつまびらかにする研究が矢継ぎ早に公表されるなか、シェイクスピア演劇に描き出された異教徒の表象についても再考が求められている。こうした批評動向を追い風に、更に研究を進展させていきたい。
またイスラム世界ばかりでなく、地中海貿易に影響を与えたインドとの交易も見過ごしてはならないことから、喜劇『真夏の夜の夢』を読み直そうと、ここ数ヶ月試行錯誤を繰り返している。『真夏の夜の夢』の論文執筆に計画以上に時間がかかり、資料の追加収集なども行ないながら、論文の完成を目指している。
同時進行で進めていた16世紀のイングランドにおける地誌に関する考察は、イングランド人の自己確立を考えるうえで重要な論考となる。こちらのほうは、論文の執筆が完了し『同志社大学英語英文学研究』第90号に「キャムデンの地誌『ブリタニア』の出版とシェイクスピアの『リア王』―土地、相続、権力をめぐる言説―」と題する論文として投稿。査読の結果、掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画を部分的に修正しながらも、おおよそ予定どおりの資料収集と研究成果をあげることができた。

今後の研究の推進方策

現在、執筆中の『真夏の夜の夢』に関する論文の完成を目指したい。同時に、『アントニーとクレオパトラ』におけるエジプト人の表象についても、収集した資料をもとに論文を執筆したい。
また、地中海貿易およびイスラム世界との交流を調査することによって、シェイクスピア演劇のなかにおける他者の表象を分析しようとするこの研究において、エリザベス朝における重商主義との関連で初期資本主義経済の影響を無視することはできない。この方面についても資料収集をしながら考察を進めていきたい。論文の内容が固まった段階で、日本シェイクスピア学会、もしくは関西シェイクスピア研究会で発表をし、その方面の研究者から意見を求めたい。その後、発表内容に加筆・修正などを加え、学会誌等に投稿する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の研究費の使用については、資料購入および収集費、学会での研究発表のための旅費などを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 「キャムデンの地誌『ブリタニア』の出版とシェイクスピアの『リア王』ー土地、相続、権力をめぐる言説ー」2013

    • 著者名/発表者名
      勝山貴之
    • 雑誌名

      『同志社大学英語英文学研究』

      巻: 90 ページ: 37-73

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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