研究概要 |
2012年度の研究業績として、まず、論文“Otherness and Postcolonialism: A Comparative Study of Japanese and Australian Literature”がある。この論文は東洋と西洋との対立させることに理論的な裏付けがなされているポストコロニアリズムが、グローバル化が急速に進行する現代において、日本やオーストラリアなどには理論的な適用が困難であることを検証し、ポストコロニアリズムの理論の限界について問題提起をした。 雑誌へ掲載された論文には、“Nation, Subjta ectivity and Identity in the Globalizing Literature”があり、グローバルが進行するなかで、文学作品における個人のアイデンティティの表象が、かつてのそれに比べてどのように変化しているかについて、日豪の文学作品を検証する論文である。もうひとつの論文「文学にみる他者性―日本とオーストラリアの場合」は、日本とオーストラリアの関係をポストコロニアリズムの理論で分析し、作品中の他者としての捉え方の差異について論じた。さらには、シンポジウムにて、「離国者作家のホームと主体:マンスフィールドとホワイトの場合」を発表し、主体と他者というテーマを離国者作家の多様な文学作品を用いて分析し、離国者作家たちの主体の表象の変容を考察することができた。 こうした研究を進めることによって、国家や文化、言語のボーダーが消滅するに伴い、主体と他者のボーダーがどのように変化しているかについて検証することができた。「主体と他者の変容」に関する変容について、1冊の本にまとめる予定です
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