• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

ヘミングウェイ文学と「メディア」の政治学

研究課題

研究課題/領域番号 23520346
研究機関関西学院大学

研究代表者

塚田 幸光  関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード映画 / 映像文化 / 表象 / ヘミングウェイ / メディア / プロパガンダ / 身体
研究概要

2011年度は、映像文化論とヘミングウェイ文学を中心に、4冊の図書、1編の雑誌論文、2件の研究発表を行った。 『映画の身体論』(ミネルヴァ書房)では、序論において、「映画の身体論」のマッピングを行い、論文「メイル・ボディの誘惑―ニューシネマ、身体、ポルノグラフィ―」を書いた。この論文では、映画が表象する「身体」の複層性について、ニューシネマとポルノグラフィとの関係を考察している。また、『アメリカ文学における「老い」の政治学』(松籟社)では、論文「「老い」の/と政治学―冷戦、カリブ、『老人と海』―」において、ヘミングウェイの『老人と海』が照射する冷戦ポリティクスとカリブの関係を考察した。この論文と対の関係にあるのが、『アーネスト・ヘミングウェイ―21世紀から読む作家の地平―』(臨川書店)に寄稿した論文「ライティング・ブラインドネス―ヘミングウェイと「老い」の詩学―」である。「盲目」という視座から、ヘミングウェイ文学と視覚表象の変容を論じた。さらに、『<風景>のアメリカ文化学』(ミネルヴァ書房)では、論文「ユートピア、ディストピア、サバービア―ダニー・ボイル『ザ・ビーチ』とハリウッドの「楽園」―」を寄稿した。 査読付き雑誌論文「シネマ・アンド・ウォー―ヘミングウェイとメディアの性/政治学―」(『ヘミングウェイ研究』第12号)では、映画と戦争を軸に、ヘミングウェイと映像表象との関連を論じた。そして、学会発表「顔と戦闘―Hemingway、Ivens、ポリティカル・スペイン―」(日本アメリカ文学会第50回全国大会)では、スペイン内戦のドキュメンタリー映画『スペインの大地』と『ライフ』誌、そして文学との関連を考察した。また、「核とマネキン―ニュークリア・シネマの政治学―」(第17回ASLE-Japan/文学・環境学会)では、映画における核表象の変遷を論じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究「ヘミングウェイ文学と「メディア」の政治学」に関して、先に言及したように、その成果は、4冊の図書(編著書1冊、共編著1冊、共著2冊)、1編の雑誌論文、2件の研究発表に顕著である。研究計画に対する達成度の高さは、これらの成果によって証明できる。 本年度(2011年度)の研究成果は、すべてが相互に関連している。とりわけ「ヘミングウェイ」に関する限り、著書『アーネスト・ヘミングウェイ』(臨川書店)と『アメリカ文学における「老い」の政治学』(松籟社)、雑誌論文「シネマ・アンド・ウォー」、そして学会発表「顔と戦闘―Hemingway、Ivens、ポリティカル・スペイン」は、本研究の中心的な成果と言える。 本研究の達成度は、本年度の研究調査の充実からもはかることができる。「雑誌/ジャーナル」の一次資料調査に力点を置き、フォト・ジャーナル『ライフ』誌の他、渡米費用を購入費用に充てて入手した『ケン』誌全巻の調査は、本研究を前進させ、埋もれていた資料の再評価につながった。『ケン』は、1930年代、モダニズム期の左翼系フォト・ジャーナル誌であり、ヘミングウェイを始め、ドス・パソスなど、多くのモダニズム作家が政治的議論を行った雑誌である。全巻を所蔵している国内大学図書館は皆無であり、東大図書館でその一部が閲覧できるに過ぎない。米国での調査のため渡米を予定していたが、全巻が入手(購入)可能となり、国内での調査に切り替えた。この成果は、先にあげたアメリカ文学会での学会発表の他、2012年度に出版予定の『ヘミングウェイ大事典』(勉誠出版)や、ヘミングウェイ協会でのワークショップ、アメリカ学会での発表などで、公表を予定している。

今後の研究の推進方策

ジャーナル『ケン』と『ライフ』に関する調査に加え、米国議会図書館やケネディ図書館での一次資料調査を行う。特に、議会図書館や公文書館でのプロパガンダ資料(OWI/OSSの資料)に集中し、ニューディールの文化と政治の関係を探る。 渡米での一次資料の調査に加え、モダニズム/ファシズム期のジャーナルに関しては、国内外を問わず調査にあたる。その成果は、可能な限り、学会発表と学会論文、そして図書として開示する予定である。

次年度の研究費の使用計画

主として、国内外の旅費として使用を予定している。米国議会図書館や公文書館など、一次資料の調査には、渡米は不可欠である。往復航空運賃と滞在費として使用予定である。また、国内での学会発表や学会参加においても、交通費と滞在費として使用を予定している。 図書購入費として、ヘミングウェイ関連、メディア、プロパガンダ、映像文化、そして映像資料など、図書とDVD資料に関して使用する予定である。 その他、複写費など、研究と関連する項目に関して、使用を予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] シネマ・アンド・ウォーーヘミングウェイとメディアの性/政治学ー2011

    • 著者名/発表者名
      塚田幸光
    • 雑誌名

      ヘミングウェイ研究

      巻: 第12巻 ページ: 31~46

    • 査読あり
  • [学会発表] 核とマネキンーニュークリア・シネマの政治学ー2011

    • 著者名/発表者名
      塚田幸光
    • 学会等名
      ASLE-Japan/文学環境学会 第17回全国大会
    • 発表場所
      明治大学生田キャンパス(神奈川県川崎市)
    • 年月日
      2011年8月27日
  • [学会発表] 顔と戦闘ーHemingway、Ivens、ポリティカル・スペインー2011

    • 著者名/発表者名
      塚田幸光
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会 第50回全国大会
    • 発表場所
      関西大学(大阪府)
    • 年月日
      2011年10月8日
  • [図書] アーネスト・ヘミングウェイー21世紀から読む作家の地平ー2012

    • 著者名/発表者名
      今村楯夫、大森昭生、小笠原亜衣、島村法夫、高野泰志、千葉義也、塚田幸光、長谷川裕一、他全20名
    • 総ページ数
      396ページ (318~332)
    • 出版者
      臨川書店
  • [図書] アメリカ文学における「老い」の政治学2012

    • 著者名/発表者名
      金澤哲(編著)、Mark Richardson、石塚則子、柏原和子、里内克己、白川恵子、塚田幸光、松原陽子、丸山美知代、山本裕子
    • 総ページ数
      315ページ (155~175)
    • 出版者
      松籟社
  • [図書] 映画の身体論2011

    • 著者名/発表者名
      塚田幸光(編著)、加藤幹朗(監修)、堀潤之、山本秀行、川本徹、名嘉山リサ、吉村いづみ、小川順子、松田英男
    • 総ページ数
      262ページ (iii~xi, 211~242)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] <風景>のアメリカ文化学2011

    • 著者名/発表者名
      野田研一(編著)、山里勝巳、日高優、結城正美、後藤和彦、藤村希、波戸岡景太、中村邦生、小笠原亜衣、黒沢眞里子、塚田幸光、管啓次郎
    • 総ページ数
      288ページ (229~249)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [備考] 関西学院大学

    • URL

      http://www.kwansei.info/html/36906.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi