16世紀後半のイタリアで多数刊行された詩の創作理論において、「模倣」の理念は極めて重要な役割を果たしている。この「模倣」は対象からその忠実な似姿を再現する方法であり、詩人個人の恣意的な想像力とは相いれない特徴を含んでいる。本研究は16世紀後半から17世紀のイタリアにおいて「模倣」と「想像」の関係が詩人・文人によってどのように捉えられ理論化されてたのかを、代表的な論考をもとに検証した。そして、①「模倣」を重視し模倣を損なわない形で「想像」を取り込もうとする立場、②「模倣」を認めつつそれとは別個に「想像」を重視する立場、③「模倣」に否定的な立場の3つの傾向を明らかにした。
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