研究概要 |
本研究課題の三つの主要な方向性は、1)パスカル人間学の総合的研究、2)パスカル人間学の「起源」の研究、3)パスカル人間学の「影響」の研究である。 1)に関しては、2010年2月に審査を終えた博士論文 Pascal et la vie terrestre. Epistemologie, ontologie et axiologie du "corps" dans son apologetique(若干の修正を経て、『大阪大学文学研究科紀要』第52号モノグラフ篇として2012年3月に刊行済み)の日本語版刊行の準備を行った。それに際し、大阪大学文学研究科における私の授業「フランス文学講義」(2013年度1・2学期)にて主要な内容を学生に聞いてもらい、彼らからさまざまな質問や意見を得たことがきわめて有益であった。また、パスカル研究会第150回例会にて、「パスカルと此岸の生―「病」の象徴的価値と身体の両義性」と題する発表を行った(2013年6月)。 2)に関しては、まず、モンテーニュ『エセー』の読解に取り組み、その成果の一部として「モンテーニュの旅と「気をそらすこと」」と題する研究発表を行った(平成25年度大阪大学文学研究科共同研究「西欧近代における旅と風景のディスクール」研究会、北海学園大学、2013年3月)。ついで、エティエンヌ・ラ・ボエシ『自発的隷従論』の翻訳書を刊行し(ちくま学芸文庫、2013年11月)、「ラ・ボエシ『自発的隷従論』における「友愛」の諸相」という論文を発表した(『待兼山論叢』第47号文学篇、2014年1月)。 3)に関しては、今年度において顕著な進展はなかった。あらためて、新規研究課題「パスカルとモンテーニュの人間学および『ポール=ロワイヤル論理学』の研究」(平成26年4月~28年3月、科学研究費補助金基盤研究C)にて取り組みたい。
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