研究課題/領域番号 |
23520388
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小黒 康正 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10294852)
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キーワード | メレシコフスキー / メラー・ファン・デン・ブルック / トーマス・マン / カンディンスキー / フィオーレのヨアキム / ネオ・ヨアキム主義 / 第三の国 / 第三帝国 |
研究概要 |
本研究では、ドイツ語圏に多大な影響をもたらしたロシアの作家ならびに思想家であるドミトリー・メレシコフスキー(1866-1941)を考察の中心に据えながら、ドイツにおける「ネオ・ヨアキム主義」の思想史的・文学史的展開の考察を行っている。平成24年度は、前年度と同様、研究代表者がこれまで行ってきた研究に関連づけ、併せて思想史的かつ文化史的背景を探りながら、1923年に『第三の国』を上梓したメラー・ファン・デン・ブルック(1876-1923)を主として考察した。 以上の研鑽の成果は概ね以下のとおりである。(1)4月に公刊した拙著『水の女 トポスへの船路』(九州大学出版会)の後半部で、トーマス・マンやバッハマンを論じながら、20世紀における黙示録的思考の重要な側面を示した。(2)2010年夏にポーランドで行われた国際独文学会(IVG)の論集に掲載された拙論「Neo-Joachismus auf der geistigen Insel in Muenchen. Kandinsky, Mereschkowski und Thomas Mann.」では、ネオ・ヨアキム主義ならびに都市ミュンヘンをキーワードにしながら、カンディンスキー、メレシコフスキー、トーマス・マンにおける思想的連関を明らかにした。(3)ルードルフ・カスナー『ディレッタンティズム』を翻訳しながら、ディレッタンティズムの観点からネオ・ヨアキム主義」の思想史的・文学史的背景を検討し、拙論「孤独化するディレッタント ブールジェ、マン、カスナーの場合」(九州大学独文学会「九州ドイツ文学」第26号掲載)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一身上の都合で海外出張ができなくなった事を除くと、概ね計画どおりに研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも一身上の都合でしばらく海外出張ができない分、国内での研究活動で何とか補いたい。なお、平成25年度も前年度と同様に、北海道大学附属図書館の「ワイマール期ドイツ保守革命文庫」で資料調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
関連図書の購入と資料調査旅費に主として使用する予定である。
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