研究の最終年度であるので、これまでの研究の成果実績のまとめ作業を中心に遂行した。海外で収集した資料そして、海外学会参加による成果などを整理していった。そうした作業に加えて、東京での資料収集も行った。そうした資料は、文学、政治、社会、歴史そして化学、医学にまで及ぶもので、領域横断的な活動を行うことができた。さらにそうした文献資料を効果的に整理するパソコン・ソフトとしてEndnoteを使用することで、迅速な処理が可能となった。 そうした作業の中から生まれた成果をもとにして、2013年秋に大分地区で開催された日本フランス語フランス文学会において、他の研究者たちとともに、ワークショップを開催することができた。会場からは、多くの有益な意見が寄せられ、研究発表をさらに充実したものとすることができた。このワークショップの内容については、日本フランス語フランス文学会の機関誌において紹介される予定である。そして、このワークショップでの発表をもとにして、新たな論文を1編作成し、報告書に掲載することにした。 これまで蓄積された研究のまとめとして、報告書を作成した。報告書には、日本語論文を4編とともに、国際学会での発表にもとづくフランス語論文を1編を収録した。それに加えて、18世紀医学文献を読むのに必要となる人名データと18世紀の最近の研究の文献目録を掲載することにした。この報告書では、18世紀においても、演劇的な認識の枠組みが、文学だけでなく、政治や医学、化学などの幅広い領域において、有効なものとして機能していることを示した。そして、その枠組みが見ることと語ることとの独特の結びつきの中から生まれているものであり、19世紀以降に進行していく視覚上の大きな変化に基づく現代的な認識構造とは異質のものであることを明らかにした。そして、HPで公開している医学人名データベースを新しいものとした。
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