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2012 年度 実施状況報告書

フランス15・16世紀の愚者演劇にみる聖俗超越への志向性を巡る知の歴史的総合研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520399
研究機関東洋大学

研究代表者

川那部 和恵  東洋大学, 法学部, 教授 (70332765)

キーワード中世演劇 / 聖と俗 / 愚者 / ソティ / 世俗劇 / ファルス
研究概要

本課題の目的は、フランス15~16世紀の世俗劇に登場してその舞台を中心的に牽引する「愚者」ないし道化的人物たちの「知」の側面に注目し、そのありようが中世末・ルネサンス期の思想・文化的な転換の動きとどう関わっているのかを、聖と俗の関係性の視点から捉え直すことにある。具体的には、かれらの知的営為における聖と俗の葛藤が結果としてもたらしうる新たな展望の可能性を追究し、このビジョンの特質と時代的意義を、道化の言説の分析と歴史・文化・社会的背景の総合的な考証と検討をとおして探っていく。
その中で本年度は、視線を世俗劇の外にも広げ、前年度のテクスト分析でえられた成果を視野に入れつつ、演劇道化の超越志向的な知のありようがどのようにして形成されたのかを聖と俗の歴史の中に探るという構想のもと、具体的には、神と道化の関係性を歴史的に洗い出すことを目標に、その認識と表現の歴史を辿った。そこにおいて重要になってくるのは、涜神という概念であり、古来もっぱら道化に結びつけられたこの行為がどのような意味を孕んでいたのかを、「聖なるパロディ」や嘲罵や呪詛等の言辞にも広く当たって検討した。また、この種の行為に対する折々の政治的反応や対処についても詳しく調査した。天に向かってそびえ立つ大聖堂に象徴されるごとく、絶対的不可侵の理想をひたすら目指す意志という力が遍く漲っていた中世世界にあって、なぜ、どのように、涜神表現が存続しえたかについての考察からもたらされた諸見解は、本課題の今後の進展に資する有意義なものであったといえる。成果の一部は、日本ロンサール学会の紀要『ロンサール研究』XXVI(平成25年5月刊行予定)に掲載の「La Folie des Gorriersにおける人物Folieの形成背景」に含まれる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りの進捗状況にある。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度と同様演劇道化の超越志向的な知のありようがどのようにして形成されたのかを明らかにすべく、人文主義と道化の関係性、キリスト論の歴史的変遷、世俗劇作者集団の知的環境について、聖と俗の視点から調査し考察する。

次年度の研究費の使用計画

物品費460,000  図書、記録メディア、翻訳ソフト、事務用品
旅費 100,000  国内学会、資料収集
人件費 0
その他 40,000  コピーカード等

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] La Folie des Gorriersにおける人物Folieの形成背景2013

    • 著者名/発表者名
      川那部 和恵
    • 雑誌名

      『ロンサール研究』

      巻: XXVI ページ: 印刷中

    • DOI

      ISSN 0916-0817

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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