本研究は、フランス精神医学にみられるネオ・ジャクソニスム的伝統が、フランス近現代の<知>全体を貫く根本的な思考様式であるという視点に立ち、哲学や文学の領域におけるネオ・ジャクソニスム的発想を探り、その多面性と変遷を浮き彫りにしながら、新しい<知の系統図>を作成することを目指した。とりわけピエール・ジャネの理論を再検討し、それが内包する精神の<創造性>と<過去保持性>の問題をより普遍化したうえで、哲学ではメーヌ・ド・ビランからベルクソンとジャネを経てドゥルーズに至る系譜を示し、文学ではボードレール、プルースト、ミショーにおける生成と存在の問題にネオ・ジャクソニスム的視点を応用し分析した。
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