研究課題/領域番号 |
23520403
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
新野 守広 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (00228131)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
前年度に引き続き、1960年代以後に生まれたルネ・ポレシュ、ファルク・リヒター、アルミン・ぺトラス、マリウス・フォン・マイエンブルク、デーア・ローアー、エーヴァルト・パルメツホーファー、ルーカス・ベアフス、ローラント・シンメルプフェニヒらの劇作家たちの戯曲を幅広く入手し、彼らの表現活動の実態を把握する作業を継続した。彼ら一人一人が持っている劇作家としての活動の個性を、劇作家活動一般から際立たせる違いに着目しつつ、一人ひとりの個別活動に即して分析するとともに、彼らの活動全体に共通する特色として伝統的なドラマ構造への批判が顕著に観察される点に着目し、この批判的動機がそれぞれの作家の表現活動をどのように特色づけているかを詳しく考察し、学会発表や論文等で公刊した。 学会発表や論文発表では、分析を戯曲の内容だけに限定せずに、できるだけ舞台の映像資料を入手し、戯曲がどのように上演されたか、演出家の演出意図はどこにあったか、ドラマトゥルクや美術家、音楽家、照明家らの役割はどうだったか、などを明らかにし、それぞれの上演にポストモダン美学の観点からの分析を試みた。 さらに、上演分析にあたっては、ドイツ語圏の新聞や専門誌に掲載される劇評やドイツ語圏で行われる関連学会の研究発表を入手することを心がけた。また、舞台表象と文化制度にかかわる幅広い分野(都市論、建築史、近代国家形成史、メディア論、政治史、文化政策論等)の成果を和書洋書を問わず、幅広く購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集の進捗度とその分析の進捗度という2側面から本研究課題の研究目的の達成度を判断する。 (1) 資料収集に関しては、研究対象となる劇作家たちの戯曲、舞台の映像資料、新聞や専門誌に掲載された劇評、関連学会の研究発表、舞台表象と文化制度にかかわる幅広い分野の成果の入手と購入が研究計画通りに進んでいる。 (2) 収集した資料の整理、分類とその分析に関しても予定通り進行しており、学会発表、ならびに論文集等での発表を通して、成果発表も進んでいる。 このような資料収集とその分析の進捗度から判断して、本研究課題の研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、平成23年度、ならびに平成24年度と同様である。1960年代以降に生まれた劇作家たちの表現活動から伝統的なドラマ批判の動機を抽出するために、まず第一にできる限り幅広く資料収集に努める。すなわち、ドイツ語圏で発行され、かつこれまで発行された戯曲、演劇雑誌、映像資料、舞台表現関係の書籍などを出来る限り入手する。さらに、収集した資料の整理、分類、分析に努め、ドラマ形式に批判的な劇作家たちの批評的動機にポストモダン美学が浸透してきたことを、個々の作家に即して明らかにする。このように資料の収集に努めると同時に、その整理、分類と分析を行うことが、本研究課題の今後の推進方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は以下の5点を中心に研究費を使用する。 (1)1960年代以降に生まれた研究対象となる劇作家たちの戯曲の入手に努め、彼らの表現のドラマ批判の要素の考察を進める。 (2)これらの劇作家たちの戯曲が実際に上演されている場合、舞台の映像資料の入手に努め、上演分析を行う。 (3)ドイツ語圏の新聞や専門誌に掲載される劇評やドイツ語圏で行われる関連学会の研究発表を入手する。 (4)舞台表象と文化制度にかかわる幅広い分野の研究成果(書籍、論文、電子ジャーナル、CD、DVD)の購入を継続する。 (5)文献調査や研究発表のための交通費、宿泊費にあてる。
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