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2011 年度 実施状況報告書

中世ドイツ叙事文学における表現技法の全体像を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 23520410
研究機関関西大学

研究代表者

武市 修  関西大学, 文学部, 教授 (80140242)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード中高ドイツ語の押韻技法 / 縮約形
研究概要

著名な言語学者Michail L. Kotin, Elizaveta G. Kotorovaのふたりが編纂した『言語体系の歴史と類型』(Geschichte und Typologie der Sprachsysteme)という書物に論文を一篇寄稿した。  これは2010年10月にEUの援助を受けてポーランドのジェロナグラ大学で開かれた国際ゲルマニスト会議で発表したものに、13世紀の英雄叙事詩『クードルーン』と14世紀の散文作品である『ベーメンのアッカーマン』の詳細な用例分析を加え、動詞lazenが中高ドイツ語から初期新高ドイツ語へと至る過程で、本来の語形とその縮約された語形がいかに使い分けられているかについて調べ、また、lazenの動詞および助動詞としての用法がいかに変遷してきたかを辿ったものである。 これによって、lazenの縮約形が中高ドイツ語文学作品で押韻に多用されているのに対し、初期新高ドイツ語の散文作品ではきわめて少なくなっていることが明らかになり、中高ドイツ語の押韻文学の大きな特徴が示された。それとともに、今日助動詞としての用法が圧倒的に多くなったlassenが初期新高ドイツ語でその傾向を表わし始めていることが見て取れた。 このような研究はこれまで例がなく、独自の研究成果として斯界に一定の貢献をすることができたと思う。ただ、当期の「研究計画」に述べた『ザクセン法鑑』の分析がまだ不十分なので、次年度はこの点の調査を精力的に進めなければならないと感じている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(理由)京大の同僚である尾野照治氏と中高ドイツ語の格言詩『イタリアの客人』の翻訳に取り掛かっており、これにかなりの時間を割いたことと、一時期体調が万全でなかったことにより、『ザクセン法監』の用例分析が遅れ、その成果を示すことがまだできていない。

今後の研究の推進方策

本年は、本研究課題により精力的に取り組む覚悟で、対象文献の精読に力を注ぐとともに、斯界の泰斗であるパッサウ大学元教授H.-W. エロームス先生、バンベルク大学名誉教授R. Bergmann先生の他に、初期新高ドイツ語の専門家であるハレ大学教授H.-J. Solms先生にもお会いし、情報交換するとともに、難解個所などを尋ねるつもりである。

次年度の研究費の使用計画

物品費250,000円 旅費 500,000円その他 50,000円『ザクセン法監』Martin Lutherの著作にかかわる注釈付きテクストおよび研究書などの購入に250,000万円を予定している。また、Passau大学Hans-Werner Eroms教授、Bamberg大学Rolf Bergmann教授 、Ingrid Bennewitz教授、Halle大学Joachim Solms教授を訪ね、研究上の相談と原典の解釈困難な個所について質問し、さらにBamberg大学図書館にて資料収集を行うために、8月末から9月初旬にかけてドイツを訪れるのに、500,000万円の旅費を当てるつもりである。その他、文房具やパソコン関係の消耗費に50,000円を見込んでいる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Der Wandel der Gebrauchsweisen vom Verb lazen (nhd. lassen) vom Mittelhochdeutschen zum Fruehneuhochdeutschen2011

    • 著者名/発表者名
      Osamu Takeichi
    • 雑誌名

      Geschichte und Typologie der Sprachsysteme

      巻: 単行本 ページ: 355-365

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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