• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

中世ドイツ叙事文学における表現技法の全体像を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 23520410
研究機関関西大学

研究代表者

武市 修  関西大学, 文学部, 教授 (80140242)

キーワード押韻文学 / 縮約形 / 否定表現
研究概要

昨年に引き続き『ザクセン法鑑』に見られる表現技法を中高ドイツ語諸作品のそれと比較すべく、本年は、論文「『ザクセン法鑑に見られる表現技法 ―中高ドイツ語叙事作品との比較から― その2 否定表現について」において、否定表現に焦点を絞って検証した。本論文においては、先ず、中高ドイツ語の様々な否定の在り方をH. パウルの文法書およびBenecke/Mueller/Zarnckeの中高ドイツ語辞典の記述を中心に、これまで扱ってきた諸作品における実例を引き、全体的に明らかにした。
次に、『ザクセン法鑑』に見られる否定表現を検証したが、そこでは反語的否定や否定の強調としての二重否定など中高ドイツ語と共通する現象も切られる一方、否定辞と接続法による複雑な統語関係を示す表現などは限定されることが明らかになり、中高ドイツ語の否定表現の多様性を浮き彫りにすることができた。
ただし、比較の対象に検討したのは、韻文で書かれた序文のみであるので、最終年には『ザクセン法鑑』の具体的本文およびM. ルターの『卓上談話』を詳細に分析し、韻文の中高ドイツ語叙事文学の表現上の特徴を明らかにしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

この年度は最終年度であったが、日常生活上様々な問題が発生し、予定していた『ザクセン法鑑』と『卓上談話』の分析が遅れた。また、ドイツの研究者との日程調整がうまくいかず、渡独して意見を交換する機会も逸したため、中高ドイツ語叙事作品に見られる表現形式の特徴との違いを全体的に示すところまで進めず、研究期間の延長を申請した。

今後の研究の推進方策

本年は最終年度の研究期間を1年延長して、遅れていた研究に積極的に取り組み、ドイツの研究者とも密接に連絡を取って、より客観的な成果を上げるように努める。具体的には、『ザクセン法鑑』のラント法の部分とルターの『卓上談話』に見られる動詞の縮約形、動詞tuonの代動詞機能、否定表現の在り方を詳細に分析し、これまで明らかにしてきた中高ドイツ語叙事作品の用法との違いを調べ、中高ドイツ語叙事作品の表現形式の特徴を明らかにしたい。

次年度の研究費の使用計画

渡独して資料収集し、当地の研究者と意見交換することを計画していたが、Hans-Joachim Solmsハレ大学教授、Hans-Werner Eromsパッサウ大学元教授たちとの日程調整がつかず、取りやめざるを得なくなった。そのために充てていた旅費を消化せず未使用額が発生した。そこで、補助事業期間を延長して次年度に再度渡独計画を立て直し次年度に使用することとした。
渡独しミュンヒェン州立図書館、パッサウ大学図書館などにて資料収集するとともに、Solms教授、Eroms教授などと意見交換するための旅費、および『ザクセン法鑑』に関する資料購入等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 『ザクセン法鑑』に見られる表現技法 ―中高ドイツ語叙事作品との比較から― その2 否定表現について2014

    • 著者名/発表者名
      武市 修
    • 雑誌名

      関西大学『独逸文学』

      巻: 58号 ページ: 1~32

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi