研究課題/領域番号 |
23520414
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
中島 邦雄 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 教授 (00416455)
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研究分担者 |
島村 賢一 久留米大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60258366)
嶋崎 啓 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60400206)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 独文学 / ファシズム / ロマン主義 / フェミニズム / 神話学 |
研究概要 |
ナチズムは、ハイデガーの思想やエコロジー運動、現代のフェミニズムとも深いところで関わっている。その関わりをこれまで以上に解明するためには、ローゼンベルクと並ぶナチズムのもう一人の思想家A.ボイムラーの思考を明らかにし、文学史の中に位置づけることが必要である。そのために、A.ボイムラーの著したバッハオーフェン著『両洋の神話』への「序文」において、互いに矛盾しながらも独自の論理性を通じて展開されるA.ボイムラーの思想の全体像を、4名のゲルマニストが神話学(中島)、ロマン主義の文学理論(嶋崎順子)と言語理論(嶋崎啓)、およびフェミニズム(島村)の観点から検証することを目標に研究を進めている。 研究は成果として、今後の研究の基礎となる「序文」の翻訳と、研究者各自の観点からの4本の論文作成及び4本の口頭発表を目指している。今年度は初年度でもあり、活動の中心を翻訳におき、それと並行して各自の論文の構想を練っている。翻訳については、各担当者が試訳をメールによって他の研究者に配布し、他の研究者は訳の誤りのチェックやよりよい訳の提案などをメールを通じて行わっている。 さらにまた、研究推進会議を3回(9月11日、12月28日、3月25日)行ったが、そこでは全員が顔を合わせて、メールで十分に説明できない部分まで立ち入って互いの訳の批判すると同時に、今後作成する論文のテーマや論旨及び論理構成についての構想を報告し、研究者各自の現段階での研究の進捗状況を確認した。 研究を進めていく上では、関連するテーマでの学会発表を聞き、また文献の検索が欠かせない。そのため日本独文学会及び西日本支部学会に出席して自らの研究方向の幅を広げると同時に、文献に関する新しい情報をメールを通じて共有し、各自の研究の構想及び内容を深めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
翻訳については、全体の2/3以上を翻訳し、メールによってその成果が研究者全員に配布されたところである。それをふまえてさらに翻訳担当者以外の研究者による訳の誤りの訂正やよりよい訳の提案などがメールを通じて行われている。このペースで行けば研究期間内(後2年)に翻訳作業を終えることは十分可能である。 また3回開催された研究推進会議での研究の進捗状況の報告により、各自の論文の構想はかなり具体的なところまで詰められつつあり、来年度以降の論文作成と発表が可能なよう、準備が着々と進行していることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、今年度の成果を元にして、引き続きメール、研究会を通じて「序文」の翻訳、問題提起、および各自作成中の論文について進捗状況の報告を行う。研究分担者1名(島村)と研究協力者(嶋崎順子)がドイツで関連する文献や資料、関連する地域を調査し、研究会で報告する。このような準備を経て、2本の学会発表を行い、2本の学術論文を作成する。 平成25年度は、前年度までの成果を踏まえ、引き続きメール、研究会を通じて「序文」の翻訳、問題提起、および各自作成中の論文について進捗状況の報告を行う。3年間の研究成果をとりまとめ、2本の学会発表を行い、2本の学術論文を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究代表者と研究分担者計3名のために物品費として文献購入のため15万円、旅費として国内の研究会への出張旅費26万円、研究分担者1名によるドイツ出張45万円を予定している。研究協力者には人件費・謝金として国内の研究会の準備のための旅費と活動費17.5万円、ドイツ出張旅費45万円を予定している。 平成25年度は、研究代表者と研究分担者計3名のために物品費として文献購入のための12万円、旅費として国内の研究会への出張旅費30万円を予定している。研究協力者には人件費・謝金として国内の研究会の準備のための旅費と活動費17.5万円を予定している。
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