研究課題/領域番号 |
23520421
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
四方田 千恵(垂水千恵) 横浜国立大学, 留学生センター, 教授 (70251775)
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研究分担者 |
白水 紀子 横浜国立大学, 都市イノベーション, 教授 (10196628)
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キーワード | 台湾 / 国際研究者交流 / 文学 / セクシュアリティ / 日本表象 / 国際情報交換 |
研究概要 |
2012年5月26日開催の日本台湾学会第14回学術大会において、研究代表者を企画責任者とする分科会企画「現代台湾文学・映画における日本「再」表象のポリティクス」が採用された。連携研究者である赤松美和子「「海角七号」「雨衣」にみるジェンダーおよび日本「再」表象のポリティクス「悲情城市」「多桑」は如何に「引用」されたか 」および研究協力者である西端彩 「甘耀明小説における国家的歴史記憶と日本「再」表象 「殺鬼」を中心に 」が報告し、研究分担者白水紀子、海外研究協力者張文薫がコメンテーターを務めた。なお、赤松論文は「台湾ポストニューシネマの日本表象」とのタイトルで『日本台湾学会報』第15号への掲載が内定している。 また、2013年2月3日には前年度に引き続き「国際ワークショップ・台湾文学におけるセクシュアリティおよび日本表象のポリティクス」を開催、8本の論文発表およびそれに基づくワークショップを行った。出席者は清華大学台湾文学研究所所長・柳書琴教授をはじめとする台湾人研究者16名および科研メンバー5名を含む日本人研究者12名であった。 そのほか、研究代表者四方田千恵(垂水千恵)は、台湾大学主催の「文化流動与知識伝播;方法論与実例研究 国際学術研討会」および東華大学主催の「第五回 文学伝播与接受国際学術研討会」で論文を報告したほか、3月5,6日には政治大学で2回の講演を行った。さらに、論文「紀大偉は如何に大島渚を受容したか 「儀式」を中心として」を『横浜国立大学 留学生センター教育研究論集』21号に発表した。 その他、研究分担者白水紀子、連携研究者櫻庭ゆみ子とともに作家洪凌を囲むワークショップを台湾で行い、その成果は洪凌著・櫻庭ゆみ子訳『フーガ 黒い太陽』(あるむ)として刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本台湾学会第14回学術大会において分科会企画「現代台湾文学・映画における日本「再」表象のポリティクス」を組み、パネル報告をしたことで、研究成果を公表することができた。その報告をもとに執筆された赤松美和子の論文「台湾ポストニューシネマの日本表象」は『日本台湾学会報』第15号への掲載が内定していることは、大きな成果といえよう。 また、2年連続の「国際ワークショップ・台湾文学におけるセクシュアリティおよび日本表象のポリティクス」を開くことで、国内のみならず国外にも科研研究の成果を公表すると同時に、研究交流の成果を挙げることができた。 さらに昨年度の白水紀子の2冊の翻訳に引き続き、今年度も洪凌著・櫻庭ゆみ子訳『フーガ 黒い太陽』(あるむ)を刊行することができたことは、翻訳を通じての成果公表という当初の目的が順調に進展していることを証明している。 また、研究代表者が台湾大学主催の「文化流動与知識伝播;方法論与実例研究 国際学術研討会」および東華大学主催の「第五回 文学伝播与接受国際学術研討会」の2度の国際シンポジウムへの招聘および、政治大学での特別講演の依頼を受けたことは国外でも研究成果が認められていることの証左であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画の最終年度に当たる。まず研究分担者の白水紀子はテーマを台湾のみならず中国にまで拡大・発展した形で、シンポジウム「中国のジェンダー構造の歴史的変容」を企画、中国社会文化学会で実施する。 研究代表者の四方田千恵(垂水千恵)は台湾(新竹・台北)および韓国の国際シンポジウムへの招聘が決定しており、これまでの研究成果を公表する予定である。また、陳芳明『台湾新文学史』の翻訳に着手し、研究成果を社会的に還元する方向へ研究を推進していく予定である。 さらに2年間続けてきた「国際ワークショップ・台湾文学におけるセクシュアリティおよび日本表象のポリティクス」を今年度も開催、若手研究者の育成も含めた研究の社会的・国際的還元を図る。 それに加え、2013年2月に洪凌著・櫻庭ゆみ子訳『フーガ 黒い太陽』(あるむ)が刊行されたことを受けて、洪凌を含む台湾現代作家を招聘し、特別講演も開催の予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度は新規機材の購入がなかったため、物品費を予定よりも若干抑えることができた。旅費についても、研究代表者は台湾の学会から招聘を受けることが多かったため、渡航回数に比して、経費を節減することが可能であった。 2013年度に関して、研究代表者は陳芳明『台湾新文学史』の翻訳に着手するため、関係論文の入手や作家インタビューを行うため、数度にわたって台湾に調査に赴く予定である。 そのほか、3年目にあたる国際ワークショップを最終年度にふさわしく、大規模に開催するために、複数の台湾人研究者、あるいは在台日本人研究者を招聘する予定であり、その旅費としての使用が見込まれる。 さらに、2013年2月に洪凌著・櫻庭ゆみ子訳『フーガ 黒い太陽』(あるむ)が刊行されたことを受けて、洪凌を含む台湾現代作家を招聘し、特別講演も開催の予定であり、その旅費の使用も見込まれる。
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