研究実績の概要 |
最終年度の今年度は、20世紀初頭の英国、アイルランドにおける日本文化の受容について郡虎彦・菊池寛を軸に調査してきた研究成果をまとめ、公開することに重点を置いて研究を推進した。研究成果は以下の4点に集約される(※本年度は2011年度日本学術振興会・頭脳循環プログラムによるロンドン派遣に伴う研究代表者・補助事業期間延長の年度にあたる)。 1. 2014年9月26日、研究協力者の橋本順光とともにシンポジウム「環流の比較文学のために―日英の還流から多国間の環流へ―」を開催した。このシンポジウムは、2012年に開催したワークショップ「西洋から見た日本の「近代化」―英語圏を中心に―」(大阪大学)及びシンポジウム「英国、インド、日本をめぐるアジア主義とジャポニスム」(大阪大学)に続く第3回目の研究成果発表会であり、数々の研究発表と研究成果の共有、議論が行われた。研究代表者は「能「鉄輪」から郡虎彦"Kanawa"ヘ―イギリス女性参政権運動と演劇との関わり」と題して研究発表を行った。 2. 2014年10月 1の研究成果を前年度の研究成果とあわせて加筆・修正し、学術論文「郡虎彦「鉄輪」における改作と自己翻訳―女性参政権運動と柔術との関わり―」(『日本近代文学』第92集、2015年5月、査読有)として執筆した。 3. 2015年3月7日 国際ワークショップ "Translation and Shared Literary Imagination in the Early 20th Century" (Sophia University Yotsuya Campus, Mar 7, 2015)にて、研究発表"The Reality of Illusion in Modern Drama: Kikuchi and Pirandello as Read by Yeats"を行った。菊池寛の戯曲がルイージ・ピランデッロと並んで紹介された背景にあるアイリッシュ・ナショナリズムの問題を指摘した。 4. 学術論文「「一人で生きる道」の探求―松村みね子/片山廣子とレディ・グレゴリー―」(『論潮』第8号、2015年9月刊行予定)を執筆した。
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