研究課題/領域番号 |
23520429
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長崎 広子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70362738)
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キーワード | 国際情報交換 / インド |
研究概要 |
ヴァッラバ派に伝わる聖者伝Do Sau Bavan Vaishnavon ki Vartaとラーマ信仰の聖者トゥルシーダースの伝記Gosain Caritaに触れられているラスカーンの伝記を考察し、彼の人物像を明らかにするとともに、彼の作品『愛の庭』を全訳し、解説を附したものを論文「詩人ラスカーンと『愛の庭』」(南アジア言語文化第7号)で発表した。また、インド・シムラーで開催された第11回国際バクティ学会に参加し、The language and literary style of Raskhan's poetryと題して、ラスカーンの韻律と言語の特徴について口頭発表した。本研究で取り上げるもう一人のヒンドゥ教ラーマ信仰の聖者トゥルシーダースの作品の翻訳と解説を「トゥルシーダース作『ドーハーヴァリー』(2)」(印度民俗研究第12号)と題して発表した。 ラスカーンの『愛の庭』の電子テキストを作成し、成果公開用の専用サーバー(http://hin.minoh.osaka-u.ac.jp/)内で公開した。また、ラスカーンの『スジャーン・ラスカーン』の電子テキストも作成した。近くサーバー上で公開予定。電子テキストを用いて、アーリア系語彙とペルシア系語彙の分布表の作成はラスカーンの『愛の庭』に関しては作成したが、その他の作品については現在進行中である。 ラスカーンの写本をインドのジョードプルとアルワール、バラトプル、アグラーで現地調査し、Rajasthan Oriental Research Institute所蔵のラスカーンの詩の断片および作品集、アグラー大学所蔵の写本を閲覧しデジタルコピーした。中には、これまでのエディションで発表されていない詩も含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子テキストを用いた作業が順調にすすみ、また現時点までの研究成果を国際学会で発表し、一定の評価を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
データの蓄積をおこない、本研究で取り上げる四人の詩人(トゥルシーダース、スールダース、ラスカーン、ラヒーム)に関して以下の分析と考察を中心に研究をすすめる。 1) 前年度の調査で集めたラスカーンの写本をもとに、テキストの校訂を行う。2) 四人の詩人の伝記(ナーバーダース著『信徒列伝』等)を整理し、位置関係を明らかにする。3) 言語面では、前年度につづけて電子テキストを用いてインド・アーリア固有の語彙とサンスクリットの借用語、アラビア・ペルシア系語彙の分布データを作成する。4) インドでの現地調査を行う。特に、伝記に関する口頭伝承を収集するとともに、写本の閲覧をおこなう。5) 世界バクティ学会(2012年)での口頭発表を論文にまとめる。また、国内外での学会や学術雑誌への投稿をとおして、研究の成果の公開に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内と海外の学会出張旅費。 電子テキスト作成のための謝金。
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