研究課題/領域番号 |
23520430
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片渕 悦久 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (30278147)
|
研究分担者 |
鴨川 啓信 山口大学, 経済学部, 准教授 (60314788)
橋本 安央 関西学院大学, 文学部, 教授 (60300274)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 物語更新 / アダプテーション理論 / メディア横断 |
研究概要 |
アダプテーション研究とメディア横断的物語論の方法論的融合をめざし、広範な物語創作・物語消費・二次創作等を包括する「物語更新理論」を開発するべく、さまざまなメディアにおいて表現される物語作品を広く収集し、それらを比較対照しながら、それぞれのメディア的特質やそれに付随する地域文化性などについての精密な考察のため、本年度は、物語更新の理論化と実践研究の提案に際して関連すると思われる作品や批評資料の収集をおこない、それらに検討を加えた。 本年度の研究計画はあくまで次年度以降の研究の土台づくりを優先しておこなったため、具体的研究成果は研究代表者片渕の「笑いの物語学―メル・ブルックス『スペースボール』」(広瀬佳司他編『笑いとユーモアのユダヤ文学』所収)と「『ウルトラマンStory0』の予型的物語更新」(『フィラメント』所収)のみにとどまった。これらの研究はそれぞれ映像メディアがどのように先行する翻案元テクストをパロディや前日談的手法で読み換えつつ、オリジナルを凌駕する物語的力を生み出しているかを考察するものである。 研究分担者の2名、および連携研究者2名、研究協力者1名の具体的研究成果として報告すべきものは本年度はなかったが、分担者鴨川はアダプテーション理論、同橋本は比較文学研究、連携研究者飯田はジェンダー・スタディーズ、同小久保は映像論、そして研究協力者武田は物語論と、それぞれの専門領域に応じて、資料の収集を積み重ね、また研究論文の執筆の準備作業を継続しておこなっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メディア横断的物語更新理論の構築のための準備作業が平成23年度の研究実施計画であった。当該年度内の具体的な研究成果としては上記のように2点のみとなっているが、アダプテーション研究、物語論、映像研究等に関連する資料収集やそれぞれの基礎理論の把握およびそれらの統合の可能性についての実績は徐々に蓄積されつつあり、初年度の研究計画はおおむね順調に進展したと判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2年度目は、初年度の研究準備状況およびその暫定的研究成果をふまえ、「物語更新理論」の具体的理論化作業を継続する。とくに物語更新の実践における条件として、地域性と普遍性の両面を考慮に入れながら新理論の仮説を構築することをめざす。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題を継続的に充実させていく上で、必要と思われる部分の研究費の執行を考慮したために、当初予定した見込み額と実際の執行額とは異なることになったが、研究計画そのものの変更はなく、前年度の研究費もふくめ、当初の予定どおりに計画をすすめていく。
|