研究課題/領域番号 |
23520437
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中里見 敬 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (30250963)
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研究分担者 |
李 麗君 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70389568)
中尾 友香梨 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (10441734)
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キーワード | 濱文庫 / 浜文庫 / 唱本 / 目録 / 説唱文芸 / 民間文学 |
研究概要 |
本研究では、濱文庫所蔵唱本の詳細な冊子体目録を作成しながら、将来的に電子目録を公開できるよう、フォーマットに則りデータ等を蓄積している。その成果は紙媒体以外に、九州大学学術情報リポジトリでも公開し、学内外へ広く発信している。今年度は、以下の目録を作成し発表した。「濱文庫所蔵唱本目録稿(七)」(『九州大学附属図書館研究開発室年報』2012/2013)、「濱文庫所蔵唱本目録稿(八)」(『佐賀大学文化教育学部研究論文集』第18集第1号)、「濱文庫所蔵唱本目録稿(九)」(『佐賀大学文化教育学部研究論文集』第18集第2号)、「濱文庫所蔵唱本目録稿(十)」(『言語科学』第49号)、「濱文庫所蔵唱本目録稿(十一)」(『言語文化論究』第32号) これにより、第13帙から第15帙までの目録を作成したことになる。この部分は北平の学古堂および泰山堂が刊行した鉛印本の唱本にあたり、冊数も多く、濱文庫所蔵唱本の中核部分である。また、東京大学東洋文化研究所の雙紅堂文庫(長澤規矩也旧蔵)、および早稲田大学図書館の風陵文庫(澤田瑞穂旧蔵)と重複するものが少なくないが、微細な違いも認められ、1930年代の唱本出版の様子を知るうえで重要な資料である。 関連して、濱文庫に所蔵される2枚の南潯戯単の由来を明らかにした、以下の論文を発表した。「濱文庫に所蔵される南潯戯単の由来について――附:濱一衛著「劉氏の嘉業堂」」(『九州大学附属図書館研究開発室年報』2012/2013) これまで来歴の不明だった中国南方の戯単について、濱一衛が呉興南潯を訪問して観劇した状況を述べ、さらに「濱文庫所蔵戯単目録(第二版)」を付した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では濱文庫所蔵の唱本全18帙について目録を作成することを目指している。3年目において第15帙までの目録稿を作成することができたのは、当初の計画にてらして、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、濱文庫所蔵の唱本について詳細な目録データを蓄積し、順次「目録稿」として刊行・公開する。これまでに木版本、石印本、鉛印本など多様な種類の唱本を目録データとして採取してきたが、さらに他大学の目録を参照しながら、その著録の基準や方法に ついて検討を進め、精度を高めていく必要がある。そして、本研究の最終年には、全体の目録を一書として刊行する予定である。 また、国内外の唱本所蔵機関で資料調査を行い、濱文庫所蔵本との版本の異同を確認するとともに、他機関での保存状況を調査する予定である。その結果は、九州大学附属図書館における濱文庫の保存状況の改善にいかしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
資料調査のために出張する時間を十分に確保できなかったため。 資料調査に携帯できるノートパソコンを1台購入する。 学会発表、および国内外の唱本所蔵機関で資料調査を行うための旅費を計上する。 関連分野の研究図書、およびデータ蓄積用のパソコン関係の備品および消耗品を購入する。
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