研究課題/領域番号 |
23520439
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
木之内 誠 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50195327)
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研究分担者 |
平石 淑子 日本女子大学, 文学部, 教授 (90307132)
大久保 明男 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10341942)
橋本 雄一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30305403)
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キーワード | 歴史文化地図 / 大連 / 満洲国 |
研究概要 |
最終年度である平成25年度(2013年度)には、補充的な大連の現地調査を9月にメンバー二名の参加により一週間程度実施し、これまで調査があまり進んでいなかった旧星が浦周辺および市街南郊の嶺前から老虎灘にかけての住宅及び別荘地を精査した。その結果、旧小松台の満鉄総裁別邸の存在を確認するなどの成果のほか、その周辺一帯にも市街中心部ではすでに稀少となっている植民地期以来の優秀な住居建築が、なお数多く残存することを確認することができた。国内の調査としては、今回初めて山口県防府市立図書館の所蔵する旧満洲関連のコレクションの状況を調査し、下関市在住の大連引き揚げ者M氏よりのインタビューを昨年度に続いて行った。 一方引き続き、これらの現地調査などの結果と旧人名録などの文献資料を総合して、地図のコンテンツを拡充する作業を続行した。『聊斎志異』の翻訳で知られる大連在住の文筆家柴田天馬邸の現存の確認もその成果のひとつである。 これまでに進められた現地調査と資料調査の成果を基にした、データベース整備の作業を最終年度にも引き続き進展させ、道路名、建築物、機関名などの項目数は、目標値として当初設定した数字の三分の二にあたる約二千に達した。 地図の製作に関しては、三年間の作業を通じて、東は寺児溝地区から西は旧満鉄工場のあった沙河口地区まで、旧大連市街地域主要部の東西の幅をカバーする、街区景観の現況を再現した3D鳥瞰図的な建造物表示を悉皆的に完備した五千分の一歴史地図の作図をほぼ完成させた。書籍としての歴史地図に求められる解説篇、年表などのテキスト作成については当初目標からかなり遅れた進行状況となっているが、参加メンバーによる作業を今後も続行し、以後二年間程度をめどに大連歴史地図の書籍刊行をめざす。
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