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2013 年度 実績報告書

仏教東流と大安寺文化圏ー祇園精舎・長安西明寺・大安寺創建説話の背景

研究課題

研究課題/領域番号 23520442
研究機関大東文化大学

研究代表者

藏中 しのぶ  大東文化大学, 外国語学部, 教授 (40215041)

キーワード国際研究者交流フランス、イタリア、カナダ、中国 / 兜率天 / 祇園精舎 / 西明寺 / 大安寺 / 玄奘 / 敦煌 / 鑑真
研究概要

大安寺創建説話の《兜率天宮→天竺・祇園精舎→唐・長安西明寺→平城京大安寺》の系譜は、《仏教東流》の東アジア文学史を象徴的に反映していた。第一に、弥勒菩薩の兜率天宮は、唐僧思託による鑑真伝『延暦僧録』天智天皇菩薩伝にみえ、その類型表現が天智天皇と同時代の新出史料、百済弥勒寺「金製舎利奉安記」にも確認された。これによって、唐と百済・日本の仏教文化の共通性と仏教東流の実態、さらに『延暦僧録』の史料性を裏付けた。第二に、祇園精舎は、仏伝とともに在俗仏教徒=居士スダッタ長者の伝説として在俗仏教徒の伝・説話に踏襲されていった。『延暦僧録』「居士伝」から、奈良・平安朝の仏教と学問を財政的にも支えた在俗仏教徒=律令官人=学徒・文人という基本構造が確認された。第三に、長安西明寺の道宣・道世が編纂した仏教類書は、奈良朝の学僧のみならず、在俗仏教徒=学者・文人=律令官人層を経て、平安中期『和名類聚抄』撰者源順らに享受され、奈良・平安朝の漢文世界を支える基本的な出典体系として機能していた。第四に、中国西北部の敦煌変文にも、仏典・歴史書を出典とする敦煌講史文学が存在する。敦煌の玄奘説話の生成は、玄奘伝を踏まえつつ、禅宗儀礼のなかで享受された。書承関係から、説話を生みだした担い手が、日本同様、『史記』『漢書』や高僧伝の文献的な基礎知識を有していることが確認された。
これらは初唐の太宗・高宗の宮廷文化の問題として捉えることが可能である。『翰林学士集』『懐風藻』から、初唐の太宗・高宗の宮廷文化の一環に、仏教的・学問的な面では長安西明寺→大安寺文化圏があり、宮廷詩・釈奠などの文学や学制の面では奈良・平安初期の「皇子文化圏」とよばれる宮廷詩の構造があった。大安寺文化圏とは、初唐の太宗・高宗の宮廷文化の仏教的側面であり、これと同様の構造が、奈良・平安朝の仏教のみならず、文学・学問を支えていたことが確認された。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 『翰林学士集』の釈奠詩2014

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 雑誌名

      東アジア比較文化研究

      巻: 17 ページ: 17-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 仏教東流と東西世界2014

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 雑誌名

      水門

      巻: 27 ページ: 1-40

  • [雑誌論文] 玄奘三蔵の慟哭2013

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 雑誌名

      水門

      巻: 25 ページ: 5-17

    • 査読あり
  • [学会発表] 大安寺にみる日本と東アジアの交流

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      東アジアの未来を考える委員会・古代部会
    • 発表場所
      東京・都道府県会館
    • 招待講演
  • [学会発表] 供養の東西ー魚籃観音 西域から長安・日本へー

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      第6回和漢比較文学会特別例会
    • 発表場所
      中国・西安・西北大学
  • [学会発表] 玄奘三蔵と敦煌講史文学

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      第五回「東西文化の融合」国際シンポジウム、シンポジウム「仏教東流と東西世界」
    • 発表場所
      東京・大東文化会館
  • [学会発表] 奈良・平安初期の「論語」「文選」の受容-正倉院御物屏風を手がかりとして-

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      二松学舎大学東アジア学術総合研究所・共同研究シンポジウム
    • 発表場所
      東京・二松学舎大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 玄奘三蔵伝と敦煌文献

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      説話研究会
    • 発表場所
      筑波大学
  • [学会発表] 玄奘三蔵伝から唐三蔵説話へ

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ
    • 学会等名
      「水門の会」国際シンポジウム玄奘三蔵とシルクロード・敦煌・日本
    • 発表場所
      東京・大東文化会館
  • [図書] 『茶譜』巻六注釈2014

    • 著者名/発表者名
      藏中しのぶ・相田満・安保博史・矢ヶ崎善太郎
    • 総ページ数
      298
    • 出版者
      大東文化大学東洋研究所
  • [図書] 『芸文類聚』巻八十七2014

    • 著者名/発表者名
      芦川俊彦・藏中しのぶ・関清孝・田中良明・中林史朗・成田守・浜口俊裕・日吉盛幸・福田俊昭
    • 総ページ数
      145
    • 出版者
      大東文化大学東洋研究所

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公開日: 2015-05-28  

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