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2011 年度 実施状況報告書

近現代日本における性・身体・権力―差別と性的倒錯の起源についての文学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520443
研究機関和光大学

研究代表者

山本 ひろ子  和光大学, 表現学部, 教授 (90318709)

研究分担者 宮崎 かすみ  和光大学, 表現学部, 教授 (10255200)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード思想史 / 文学論 / 民俗学 / 文学批評・文学論理 / 芸能
研究概要

本研究では、性と身体において「倒錯」として創り出され排除されることが「差別」の構造にどう組み込まれかつ機能しているかを、近世の文化と近現代文学を中心にして分析し、性的倒錯と差別の関係の構造を明らかにすることをテーマとし、旧来の権力分析とは異なる視点から、身体と性を基点にした近現代日本の思想・文化史の新たな書き直しを目指している。 西欧の影響を受ける以前の、前近代日本における倒錯と差別の問題に迫る為に、被差別部落の伝承と芸能、また寺院の法会における呪術的身体とエロス、身体における倒錯と転覆のダイナミズムに焦点を絞り、23年度は奈良・大阪でのフィールドワークにおいて、多武峰の常行堂を見学し、堂衆たちの秘神であった摩多羅神や翁の芸能などについて考えた。大阪では、『黒い翁』の著者で、長年被差別部落の伝承文化や能楽以前の面を研究されてきた乾武俊氏に聞き取りを行った。また被差別部落の伝承を主題とした小説家・中上健次に関して、新宮での研究会に参加し調査を行った。さらに長野では諏訪祭政体の儀礼をフィールドワークし、輪王寺(栃木県日光市)、毛越寺(岩手県平泉町)、多武峰(奈良県桜井市)、清水寺(島根県安来市)など天台寺院の法会と芸能に関する調査研究を行い、10月には共著『日光-その歴史と宗教』(春秋社)を刊行した。 そのほか学外研究者を招いて翁や被差別部落の伝承に関する研究会を開催し、秋元松世の戯曲も継続的に講読し分析を行ってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

民俗芸能や寺院の法会および関連する資料群は、前近代日本について考えてゆくための豊富な素材である。研究者はそれらのフィールド及び史料に精通している。また中上健次や秋元松代など近現代文学を辺境から捉えなおす為に欠くことの出来ない、〈熊野〉や〈土佐〉といった‘文学的トポス’へのフィールドワークを蓄積があるため。

今後の研究の推進方策

引き続き大阪府和泉市、和歌山県新宮市、高知県高知市・香南市・香美市等へのフィールドワークを行い、被差別部落の伝承、芸能、芸術に関する資料を収集分析する。特に平成24年は幕末の絵師金蔵の生誕200年にもあたり赤岡でも様々なイベントが企画されている。現地・赤岡町での研究調査やシンポジウムへの参加に加え、猪々野、馬路村など、現代の劇作家・秋元松代の作品に因む土地への調査も行う。さらに今年没後20年を迎える中上健次に関しては、昨年に続いて熊野大学への参加、地元での調査も予定している。また各自研究を続行し、研究会とシンポジウムを開催する。外からも研究者を招き、研究テーマをさらに深化させる。

次年度の研究費の使用計画

フィールドワーク旅費、研究会開催及び研究者招聘のための費用として、また基本文献の収集、記録用メディアや文具・消耗品の購入、コピー代などに使用予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 日光―その歴史と宗教―2011

    • 著者名/発表者名
      菅原信海 田邉三郎助
    • 総ページ数
      169ページ~202ページ
    • 出版者
      株式会社春秋社

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公開日: 2013-07-10  

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