研究課題/領域番号 |
23520444
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
楠原 俊代 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (30131288)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 中国文学 / 中国革命史 / 文化大革命 / 中共党史 / 韋君宜 / 『思痛録』 / 国際情報交流 / 中国 |
研究概要 |
本研究は、新中国成立以後、半世紀余の歴史を「反思(反省・振り返って考えなおす)」する、回想録を含む当代散文を収集し、個人が歴史にいかに関与しうるのか、個人の証言(記憶)は歴史の中でいかなる意味を持ちうるのか、また文学(散文)作品が歴史に対していかなる役割を果たしうるのかについて考察しながら、文献の読解を進めるとともに、平成19~21 年度に遂行した研究「韋君宜から見た中国革命史再構築の試み――作家、編集者、革命家の視点から」で得られた「中国革命史」と丹念につきあわせて分析することによって、さらに精度の高い「中国革命史」の再構築を試みるものである。 本年度は、研究計画・方法に記したとおり、記憶の中の中国革命史、中華人民共和国成立から文革まで(1949~66 年)部分の再構築に取り組み、その成果に基づき、12月9日には、京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センターの「長江流域社会の歴史景観」共同研究班(班長:森時彦)において、「韋君宜と中共湖北省委員会」の題目で研究報告を行った。この報告をもとに論文を執筆し、3月末に同班の研究報告論文集に提出、査読を経て、2013年度予算で出版される見込みである。本論文では、中国では出版されていない『思痛録』香港版の他に、多くの回想録・中共党史資料を用いて、中共に入党以来50余年に及ぶ革命を経てきた韋君宜の苦痛の根源が、「党とマルクス・レーニン主義、指導者に対する信仰」であったことと、これまで触れられることのなかった中共革命の実像の一端を明らかにした。 他には、論文「韋君宜の著作における『歴史』の意味について」の中国語版「韋君宜筆下"歴史"的含義」が2011年12月に出版された(森時彦主編、袁広泉訳『二十世紀的中国社会』〔日本京都大学中国研究系列之二〕、北京:社会科学文献出版社、506~544頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9月3日、台風12号のため、飛行機が欠航して、北京に出張できず、その後も先方の研究者と日程の調整がつかず、結局中国には行けなかった。しかし、資料の収集と文献の読解・分析の点では順調に進展し、その成果にもとづき研究報告をおこない、さらに論文も執筆し提出することができた。論文は査読を経て、2013年度には出版される見込みで、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に使用する予定の研究費が生じたのは、台風12号のため中国に出張できなかったことと、1月末に発注し、3月中には納品予定だった書籍(約12万円)がまだ届かないためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
「研究計画・方法」欄に記したとおり、回想録を含む当代散文と、国内外の中国革命史関係図書を収集する。次年度は必ず中国に出張し、資料収集と関係者へのインタビューをおこなうとともに、研究者と会い、意見交換をおこなう。また、関係資料の読解を進めるとともに、平成19~21 年度の研究「韋君宜から見た中国革命史再構築の試み」で得られた「中国革命史」と丹念につきあわせて分析することによって、さらに精度の高い「中国革命史」の再構築を試みる。
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