研究課題/領域番号 |
23520447
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
瀬戸 宏 摂南大学, 外国語学部, 教授 (80187864)
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キーワード | シェイクスピア / 戯劇協社 / 国立劇専 / 話劇 / 文明戯 / ベニスの商人 / ヴェニスの商人 / ハムレット |
研究概要 |
・口頭発表「上海戯劇協社『ベニスの商人』について」(日本演劇学会全国大会 2012年6月16日 近畿大学)をおこなった。1930年5月におこなわれた中国最初の本格的シェイクスピア上演である上海戯劇協社『ベニスの商人』上演の背景、経過、その意義を分析した。日本で未紹介の同公演舞台写真、上演台本(顧仲彝訳『威尼斯商人』)表紙・奥付などを紹介した。口頭発表「国立劇専与莎士比亜演出-以《威尼斯商人》為主」(中国語、紀念朱生豪誕辰一百年学術研討会 2012年10月29日 中国嘉興・沙龍国際酒店)をおこなった。実質的に中国最初の国立演劇学校である国立戯劇専科学校(国立劇専)の設立経過および中央戯劇学院に吸収されるまでの14年の経過、全卒業公演をシェイクスピア作品でおこなうことをめざした国立劇専が第一回卒業公演として1937年6月におこなった『ベニスの商人』上演の特徴を分析した。口頭発表「中国・国立劇専『ハムレット』公演(1942)について」(日本比較文学会第48回関西大会 2012年11月17日 立命館大学衣笠校舎)をおこなった。中国最初の『ハムレット』上演である国立劇専『ハムレット』上演について、その経過と上演の特徴を分析した。この発表では、中国四川省江安県・国立劇専史料江安陳列館を2012年8月に訪問し収集した同公演の舞台写真、プログラムなど関連資料を、日本国内はもちろん世界で最初に公開の場で紹介した。 論文「中国シェイクスピア受容の黎明」(『摂大人文科学』19号 摂南大学外国語学部 2012年7月*形式上の奥付は12年2月だが、実際の刊行は7月)を発表した。清末から五四運動以前の中国シェイクスピア受容について分析した。口頭発表についてもその内容を論文化したが、刊行は次年度を待つこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は、科研費決定の遅れや分割支給の影響で安定した研究実施計画を立てられず、学会での口頭発表を行えなかったので、当初の研究計画の遅れを取り戻すために当該年度は国内学会発表を二回おこなった。また当初の研究計画にはなかったが、中国語による国外学会発表を一回おこなった。ハードなスケジュールであったが、実行することができた。日本演劇学会全国大会、日本比較文学会関西大会という二回の国内学会発表はいずれも活発な討論が行われ、好評であった。この二つの学会はいずれも中国専門学会ではなく、日本での中国シェイクスピア受容の普及、紹介という面からも意義のあるものであった。 紀念朱生豪誕辰一百年学術研討会での国外学会発表は、日中関係が緊張し日中文化交流が次々に取り消された時期であったが、中国側関係者の配慮および日中学術交流に対する瀬戸宏の熱意により、予定通り実行できた。この学会では、朱生豪旧居見学、朱生豪遺族との面談さらに中国のシェイクスピア研究者との交流も行うことができ、極めて有意義であった。これは当初の計画にはなかったものである。 論文「中国シェイクスピア受容の黎明」では、中国最初のシェイクスピア紹介について、最新の研究成果もふまえ、通説の1956年ミュアヘッド訳『大英国志』ではなく1844年魏海編『海国図志』であることを、日本に紹介することができ、また五四運動以前の清末民初における中国シェイクスピア受容を体系を持って記述することができた。 研究実績の概要で述べたように、口頭発表の論文化刊行は当該年度には間に合わなかったが、これらは次年度に予定されている。全体として、当該年度の研究は当初の研究目的の内容を達成できているといってよいであろう。
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今後の研究の推進方策 |
・当初の研究目的で述べた1937年業余劇人協会『ロミオとジュリエット』公演に関する口頭発表を、2013年後半に適当な学会でおこなう。また同口頭報告を論文化し、適当な学術誌に発表する。 ・2013年11月16、17日に武漢大学で実施が予定されている第三回武漢大学莎士比亜(シェイクスピア)国際学術研討会に出席し、中国語で口頭報告する。報告内容は、戯劇協社『ヴェニスの商人』上演に関するものを予定している。 ・次年度は研究最終年度であるので、適当な形で研究のとりまとめもおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
・調査旅費(国際、国内) ・学会参加旅費(国際、国内) ・図書購入費 ・消耗品購入費 ・謝金
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