研究課題/領域番号 |
23520453
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 宏 東北大学, 文学研究科, 教授 (10212549)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 主観性 / 望ましさ / 文法化 |
研究概要 |
同語反復文,矛盾文など言語の最も重要な機能ともいえる情報伝達を放棄したかのような一連の奇妙な文について分析し,主観性仮説の点から解明を行うのが本研究の目的である.これらの文は情報価値がゼロ,あるいはゼロに近く,言語活動の常態を逸脱した表現ということにもなろうが,頻度も高く,その意味作用においては各表現を通じてある種の共通性が見られ,通言語的にも興味深い類似性が観察される.ここから,これら情報欠落文には共通な意味生成基盤が存在すると考えられよう. テキスト・データベース,光学的読み取り装置,インターネットの検索エンジンなどを利用した文字データの収集,および口語の自然な発話例を文脈・状況を含めて収集することに努めた.具体的には,日本語,フランス語,英語の情報欠落文の用例について,特に矛盾文,自明文を中心に用例のデータを収集し,整理した. 同語反復文についてすでに得られた成果について,矛盾文と自明文の分析への適用可能性を検討し,主観性全体について検討を加えた. 研究論文や研究書を通じて,意味論,語用論,文法化,認知科学,言語習得関連の現在までの成果について考察し,意味作用一般について,現在までの研究史を概観するとともに,主観性仮説の点からの批判的考察を試みた. 暫定的な研究成果について,特に矛盾文と自明文を中心に,フランス国際認知言語学会(リヨン),ヨーロッパ日本研究協会(タリン),フランス語談話会など国内外の学会・研究会で研究発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テキスト・データベース,光学的読み取り装置,インターネットの検索エンジンなどを利用した文字データの収集,および口語の自然な発話例を文脈・状況を含めて収集し.日本語,フランス語,英語の情報欠落文の用例,特に矛盾文,自明文のデータを収集することに成功し,これへの分析を開始している. 現在までの研究史を概観するとともに,主観性仮説の点からの批判的考察を試みている. 主観性全体について仮説を構築し,暫定的な研究成果について,国内外の学会・研究会で研究発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に,CD-ROM・DVD-ROMタイプの日本語,フランス語,英語のテキスト・データベース,インターネットの検索エンジンなどを利用して,データを拡充する.また国内外の母語話者への面接調査も継続して行う. 矛盾文,自明文に加えて,確認文とメターファー文の用例収集と整理を開始する. 同時に,情報欠落文全体について,データの整理および総合的分析を開始する.収集したデータおよび得られた暫定的分析結果についてはCD-ROM・DVD-ROMの形態にして研究者間で共有可能なものにする. 言語学的文献のみならず,修辞学,西洋古典文献学,国内外の文学研究などの成果をも検討し,ここから情報欠落文に関する散発的な指摘を網羅的に収集し,研究の参考資料とする. 研究成果について,日本言語学会,日本認知言語学会,日本フランス語学会,および国際フランス語学会,国際認知言語学会など国内外の学会・研究会で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
備品としては,データ保存・整理用の大容量ハードディスク,大容量シリコンディスク,データ分析用のパーソナルコンピュータ,日本語・フランス語・英語のテキストエータベースなど. 旅費としては,国内外への資料調査,学会・研究会発表旅費など. 他に,データ整理作業謝金,講演謝金,通信費,印刷費など.
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