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2012 年度 実施状況報告書

文法化における機能範疇の出現方法の分類と統合に向けての研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520454
研究機関茨城大学

研究代表者

西山 國雄  茨城大学, 人文学部, 教授 (70302320)

キーワード文法化 / 機能範疇 / ラマホロト語 / 一致現象 / 統語論 / 形態論 / 接辞 / 指示詞
研究概要

本研究の2つの柱は、日本語とラマホロト語における文法化現象の分析と、類型論の文献を基にした通言語的視点からの文法化の考察である。具体的には①日本語における文法化現象は連体形(準体言)と形式名詞の発展、②ラマホロト語における接辞が一致形態素へ発展した過程を扱う。
①については、これまでの成果をくろしお出版より発表した。そこでは連体形が古語の段階で既に範疇に曖昧(CPまたはDP)である、という分析を提示した。そして準体助詞の「の」はその曖昧性を引き継いだのであって、「の」自体が文法化を経たのではない、という説を出し、従来の見解と異なる立場を示した。これを更に発展させた研究を、国語研究所で発表した。機能範疇の新たな出現方法として、融合を提唱した。具体的にはDがCを支配している構造から、2つの素性を合わせ持つ1つの範疇への変化である。これは第4の方法で、これまで提案されている3つと合わせ、比較、統合がより困難になるが、新たな課題として取り組みたい。
②では、通言語学的に接辞と一致形態素の区別は連続的で、前者から後者への文法化が広く観察されることを基に、東インドネシアのスラウェシ島に見られる第二位置接辞からラマホロト語の一致形態素が発達したと仮定した。ここで問題となるのは、この変化がオーストロネシア語族の中での変化(内的要因)によるのか、パプア言語との接触によるのか(外的要因)ということである。前者はラマホロト語がスラウェシ島の言語とは別の下位分類に属するという通説(中央マラヨポリネシアの仮説)により説明されるが、後者の場合は系統発達は関係なく、近年出てきた、中央マラヨポリネシア下位分類存在しないという仮説と合致する。この外的対内的の問題は言語地域に特有のものだが、6月に本学で行われる日本言語学会の公開シンポジウムの企画、司会を務め、言語地域をテーマとして取り上げる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

機能範疇の出現方法で新たな方法を提案し、これまでの提案を収束させる方向とは逆ではあるが、検討する課題が増え、研究の道筋がより明確になったから。

今後の研究の推進方策

日本言語学会の公開シンポジウムで言語地域の知見を深め、言語変化の内的要因と外的要因の関係を検証する。これにより一致形態素の出現方法でより正確な分析ができると期待でき、機能範疇の出現方法の比較検討において有効な視点が得られる。

次年度の研究費の使用計画

日本言語学会の公開シンポジウムで言語地域の知見を深め、言語変化の内的要因と外的要因の関係を検証する。これにより一致形態素の出現方法でより正確な分析ができると期待でき、機能範疇の出現方法の比較検討において有効な視点が得られる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Decomposing Demonstratives and Wh-words2013

    • 著者名/発表者名
      Kunio Nishiyama
    • 雑誌名

      JELS

      巻: 30 ページ: 159-165

  • [雑誌論文] 活用形の形態論、統語論、音韻論、通時2012

    • 著者名/発表者名
      西山國雄
    • 雑誌名

      三原健一・仁田義雄(編)『活用論の前線』, くろしお出版

      巻: - ページ: 153-189

    • 査読あり
  • [学会発表] 準体助詞「の」の発達:文法化・脱文法化分析の検証と再構築2013

    • 著者名/発表者名
      西山國雄
    • 学会等名
      Ninjal Typology Festa 2013
    • 発表場所
      国立国語研究所
    • 年月日
      20130324-20130324
  • [学会発表] 名詞節の発達:日本語とフィリピン言語の平行性2013

    • 著者名/発表者名
      西山國雄
    • 学会等名
      インドネシア言語研究会
    • 発表場所
      東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所
    • 年月日
      20130306-20130306
  • [学会発表] Decomposing Demonstratives and Wh-words2012

    • 著者名/発表者名
      西山國雄
    • 学会等名
      日本英語学会
    • 発表場所
      慶応大学
    • 年月日
      20121111-20121111
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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