研究課題/領域番号 |
23520457
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
益子 幸江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00212209)
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研究分担者 |
佐藤 大和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (50401550)
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
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キーワード | 音声学 / イントネーション / 東南アジア / 日本語 / タイ語 / ビルマ語 / インドネシア語 |
研究概要 |
言語音声の研究において、イントネーションの研究は進んできてはいるが、言語によって状況は様々である。本研究は、通言語的に、すなわち異なるタイプの言語で、イントネーションがどのように用いられているかを調べることが目的であり、言語によって相違する特徴と同時に、言語によらず類似する特徴を調べようとしている。言語学的に広い視野からのテーマ設定である。また、実際の音声を収集して分析することで客観性の高いデータを集め、音響分析により共通の手がかりとして用いられる特徴を抽出することを目指している。 本研究で取り上げている4つの言語は、声調言語か否か、ピッチアクセントを持つか否か、多音節言語か単音節言語か、という点でそれぞれ異なるタイプに属する。昨年度の調査では、言語のタイプによっては強調という機能はイントネーションではほとんど表せないものがあることがわかった。それらは声調言語であったが、声調言語の場合、もう一歩踏み込んで考える必要がある。すなわち、日本語や英語でのイントネーションとは一見異なるが、声調の表れ方が変わることで、強調などの機能を表す可能性が残されている。そこで今年度は、声調の調値や持続時間について、2音節以上のつながりの形で、実際の音声を収集して分析を行った。その結果の一つとして、軽音節化という現象が観察されたが、この現象も声調言語の間でも異なることがわかってきた。また、一つの声調言語の中でも軽音節化が起こりやすい声調とそうでない声調があることもわかり、さらに詳細な分析が必要であることが明らかとなってきた。 強調を表すのにイントネーションが主に使われるものについても、声調言語の結果を踏まえ、音節の軽重すなわち持続時間も含めてイントネーションを分析するべきだという見解に至っており、より広い視点でイントネーションを考察する可能性がひらけてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね予定通りに進んでいる。声調言語については、英語や日本語のようなイントネーションではなく、声調を含めた音の高低変化を追究するために声調の現れ方についても観察を進めた。タイ語については2音節語から8音節語までのデータを収集し、F0値と持続時間の計測を進めている。現時点では、第1音節で第2声と第4声が軽音節化しやすいという結果が得られている。 ビルマ語については2音節語から3音節語で軽音節を含むものを観察したところ、軽音節の声調は本来の声調の型のいずれにも該当しないものが現れることもあることがわかった。これら2つの声調言語では、イントネーションを考えるために声調を同時に調べる必要があり、その調査方法も含めて進展させることができた。 声調言語ではない2つの言語、インドネシア語と日本語については、声調言語のような軽音節化は顕著ではないが、イントネーションという音調にのみ目を奪われ、音節自体の変化に気づいていなかった可能性もあるので、それらの特徴も考察対象とすることにした。インドネシア語については、F0とともに持続時間も強調の機能に関与すると考えられる資料が得られている。 これらの観察・分析結果を踏まえて、聴覚実験を行うための音声合成ツールの提供を受ける予定であり、それに用いる音声パラメータの検討に入る段階にまで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
4つの言語について、それぞれの言語ごとに、考えて作成してきた分析基準を用いて、音声資料について分析を行う。タイ語では2音節語から8音節語までのデータを収集し、F0と持続時間の計測を進めている。これを完成させ、F0値と持続時間の両方がどのような現れをしているのかを考察する。ビルマ語については2音節語と3音節語で軽音節を含むものの観察を完成させ、軽音節の軽声が新しい声調の型として認められるかを視野に入れながら最終の分析結果を出す。インドネシア語と日本語は、それぞれイントネーションが強調という機能を表すことができる言語であるが、F0値の変化と同時に持続時間も計測し、この2つの音響的特徴がどのように働いているか、インドネシア語と日本語で類似点と相違点を抽出しておく。 上記の結果を踏まえ、声調言語と非声調言語の間、声調言語の中の違い、非声調言語の中の違い、それぞれの言語による違いが、なぜ、どのようにして成り立っているのかを考えることで、言語間の類似特徴と相違特徴について、一貫した考察を引き出す。 さらに、これらを踏まえた聴覚的な調査を行うことで、一貫した考察の妥当性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はおおむね予定通りに進めることができたので、次年度に繰り越された金額は700円という少額である。 次年度は、聴覚的な調査のために4つの言語それぞれを母語とするネイティブスピーカの協力を仰がなければならない。また、それらのデータ分析の補助のための研究補助者が必要である。母語話者と研究補助者の両方に、謝金が必要である。 また次年度は、研究成果の学会発表を予定しており、学会への出張費が主な支出の一つとなる。
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