本研究プロジェクトでは、統語派生に対する入力及び連鎖へのマッピングに焦点を当て先行研究に見られない新たな論点から、自然言語の計算システムの本質について探究した。連鎖的依存関係が生じる言語環境を解明した上で、入力において異なる概念的解釈を受け、異なる統辞として生じた統語要素が、一定の状況下において、感覚運動体系及び意図体系とのインターフェースにて単一の統辞体/連鎖として解釈されうると論じた。強制的コントロール構文・寄生空所・削除現象・連続循環移動など幅広い経験的な言語事象が、提唱した連鎖形成メカニズムを用いて分析されることを示し、動的統語論の視点から自然文法の包括的な側面に統一した説明を与えた。
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