研究課題/領域番号 |
23520465
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
塚本 秀樹 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60207347)
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研究分担者 |
堀江 薫 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70181526)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 日本語 / 朝鮮語 / 文法化 / 対照言語学 / 形態・統語的仕組み / 連用形 / 中止形 / 主節/従属節 |
研究概要 |
研究代表者の塚本は,次のことを明らかにした。日本語では,文法化が生じている言語現象が比較的多いのに対して,朝鮮語では,文法化が生じている言語現象が比較的少なく,両言語間で文法化の進度の違いがある。朝鮮語は,基本的には語と節・文の地位を区別する仕組みになっているのに対して,日本語は,語と節・文が重なって融合している性質のものが存在する仕組みになっている,といった両言語間における形態・統語的仕組みの違いがある。また,両言語間における文法化の進度の違いは,さらに根本的な要因である形態・統語的仕組みの違いと強く結び付いており,これに起因した結果のものがある。文法化は,このように形態・統語的仕組みが大いにかかわっている。両言語間における形態・統語的仕組みの違いは,次の2点が影響を及ぼしており,一要因となっている。1点は,文法体系における動詞連用形の位置づけが両言語間で異なる,ということである。動詞連用形は,朝鮮語では先行する節・文が一旦中止しながらも,後続する節・文にかかっていき,両者が接続される,といった用法が基本的であるのに対して,日本語ではそういった用法以外に,いろいろな文法現象に姿を現し,多様な用法を有する。もう1点は,動詞の接続形式の一つである中止形の種類が両言語間で異なる,ということである。日本語における動詞の中止形は,(A)「動詞連用形」と(B)「動詞連用形+接続語尾『て』」の2種類である。一方,朝鮮語では,動詞の中止形は,日本語の場合と同様である(A)「動詞連用形」と(B)「動詞連用形+接続語尾se」の2種類に加えて,(C)「動詞語幹+接続語尾ko」と(D)「動詞語幹+接続語尾mye」の2種類もある。研究分担者の堀江は,従属節の主節化については両言語ともに生産的であるのに対して,主節の従属節への浸透現象については朝鮮語よりも日本語の方が生産的であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
入手した言語学関係の図書・論文によって,これまでに行われてきた理論的なアプローチからの考察を検討し,入手した日本語と朝鮮語に関する参考書によって,まずは記述されている範囲内でそれぞれの言語の事実を確認した。また,研究代表者及び研究分担者の直感が効かない朝鮮語に関しては,それぞれの所属研究機関で母語話者に対して入念なインフォーマント調査を行い,従来の参考書には記述されていなかったり記述が詳しくなかったりする言語事実を明らかにした。さらに,それによって得られたデータと情報については,研究代表者と研究分担者の間でその都度,連絡をとって提供し合い,検討するとともに,思索中の研究代表者及び研究分担者自身の考えについて意見交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の平成23年度における,本格的な考察を行うための基礎となるものを作り上げる作業((1)先行研究の検討,及び参考書に記述された言語事実の確認,(2)朝鮮語のインフォーマント調査による言語事実の解明)を継続して行う。そういったことにより,次のことを行う。日本語と朝鮮語における文法化現象に関する両言語間の類似点と相違点を明らかにした上で,その両言語間の相違は,何を意味し,何が要因となって生じているのか,ということについて対照言語学からのアプローチで探究する。その探究の際には,特に,形態・統語的仕組みに関する両言語間の相違が文法化に関する両言語間の相違にいかに影響を及ぼしており,また影響を及ぼしていないか,といった二者の相互関係に着目し,その実態を明らかにする。また,研究代表者が研究分担者のところに直接,出向くか,あるいは逆に,研究分担者が研究代表者のところに直接,出向くことによって,得られたデータと情報について検討するとともに,思索中の研究代表者及び研究分担者自身の考えについて意見交換を行う。さらに,国内及び海外での学会に出席した際,あるいは国内及び海外の研究者のところに直接,出向くことによって,思索中の研究代表者及び研究分担者自身の考えについて研究者と議論し,また助言を仰ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
第一に,言語学関係図書と言語に関する参考書を購入し,充実させるのに,設備備品費が必要である。第二に,基礎データとなる日本語と朝鮮語の実例を収集し,それを整理することを有能な研究補助者に依頼するのに,謝金が必要である。第三に,研究代表者及び研究分担者の直感が効かない朝鮮語については,母語話者に対して入念なインフォーマント調査を行うのに,謝金が必要である。第四に,研究代表者と研究分担者は,常に密接な連携をとって本研究を進めることになり,時としては直接会って意見交換・議論を行わなければならず,これには旅費が必要である。第五に,研究代表者と研究分担者はともに,国内外の他の研究者を訪ね,意見交換・議論を行うことがあり,国内外の学会に出席して研究成果を発表することも予定している。こういったことにも十分な旅費が必要となる。
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