研究概要 |
平成23年度の主要な研究成果は下記2本の論文に収められている。いずれも平成24年12月に出版予定のHandbook of the Ryukyuan Languages (P. Heinrich & S. Miyara [eds.], De Gruyter)に所蔵予定である。1. Miyahira, K. & Petrucci, P. R. (in press). Uchinaaguchi as an online symbolic resource within and across the Okinawan diaspora. 2. Petrucci, P. R. & Miyahira, K. (in press). Okinawan language (Uchinaaguchi) in the linguistic landscape of Heiwa Dori and Makishi Market. 論文1では,継承沖縄語が,沖縄という場に依拠せずグローバルに展開するオキナワン・アイデンティティを創造する上で象徴的役割を担っていることを論じた。沖縄の町市場における言語景観の研究(論文2)においては,漢字,ひらがな,カタカナ,英字で表記される斬新な沖縄語の表現形式が示唆する沖縄語の社会的意義を考察し,消滅の危機に直面する言語の復興の可能性を論じた。いずれの論文も混成語のデータを分析し,既存の文献を踏まえて考察した。その点において当初の研究目的に合致する成果である。 12月にはマレーシアで開催された言語と異文化コミュニケーション学会において,「市民生活における沖縄語の言語景観」という題目で発表した。ニュージーランドのマシー大学にでは,「沖縄語の言語接触」という題で講義し,マオリ語のイマージョン学校を視察した。これらの活動結果を活かして今後は言語接触の比較分析を行う。
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