研究概要 |
本研究課題の研究代表者は、2013年度は、主に次の2つの方向に研究を進め、それぞれ成果実績を挙げた。 1. 前年度に引き続き、通時的な意味の変遷とそれによって引き起こされる統語構造・品詞の変化との関係を、言語を越えて統合的に分析した。この分析結果は、2013年6月 ICLC-12 (the University of Alberta, Edmonton, Canada)での国際学会において発表した。聴衆から、更なる研究の方向性を示唆するコメントをもらうことができた。 2. 出版社John Benjaminsからの、温度に関する対照言語学の論文集の刊行に向けて、ストックホルム大学のMaria Koptjevskaja Tamm教授(本課題の研究協力者)と連絡を取り合い、最終原稿の更なる改訂、論文集全体に対する言語地図等の挿入など、出版に向けて、更に研究作業を進めた。 また、研究代表者と研究分担者は、それぞれ下記の認知言語学に関する概論書の執筆を行い、原稿提出・出版を行った。 1. 研究代表者は、ひつじ書房から刊行される、「講座 言語研究の革新と継承」の中に掲載される論文の執筆を行った。言語の変遷の動機づけとして、認知的に重要な概念である「主観化」に関して、種々の参考文献を挙げ、その概念の意味するところ、関係する言語現象等を論じた。 2. 研究分担者は、くろしお出版から、「認知日本語学講座第2巻 認知音韻・形態論」を共著にて刊行した。ネットワーク分析、構文文法、フレーム意味論、意味地図、大規模コーパスなど、認知言語学の最新の研究成果や分析手法を取り入れ、日本語の事例分析を試みた。音韻・形態論の基礎的な視点に関しての説明、関連現象を幅広く扱い、語彙論や構文論に関する問題も考察した。
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