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2011 年度 実施状況報告書

有無・量的大小・増減・出現消滅の述語の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520479
研究機関同志社女子大学

研究代表者

服部 匡  同志社女子大学, その他部局等, 教授 (40228490)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードコーパス / 量的形容詞 / 尺度性 / 増減の動詞 / コロケーション
研究概要

1 尺度的な側面を有する名詞と、量的形容詞類および増減の動詞との結合傾向に関する研究を行うため、本年度は、今後の研究の立脚点となるデータの抽出と、予備的な分析・考察とを行った。新聞記事・自作Webコーパス、国会会議録から名詞と量的大小の述語、増減の述語の共起用例を抽出し、組み合わせに関する基礎的統計を作成した。また、今後の分析処理に必要となるスクリプトを設計・作成した。2 「可能性」など一部の名詞に関して、その前部要素の特徴(テンス・特徴的な語の存在)によって分けた共起形容詞類(今回は「大」の類のみ)別の用例数を求め、例えば「大きい」「強い」「高い」の間に、従来知られていなかったような使い分けの傾向があることが分かった(投稿準備中)。3 何らかの意味で程度を問題にしうるような性質を有する名詞一般(168語)に関して、国会会議録を用いて、形容詞(今回は「大」の類)別共起傾向の推移を分析し、次のような変化傾向の存在を発見し、論文として報告した。 (1)「高い」、「大きい」、「強い」のいずれかとの共起率が上昇している名詞が多い。各形容詞について、それとの共起率の上昇した名詞・一貫して共起率の高い名詞を眺めると、意味的な共通点のある語群が認められる。大局的に見れば、元々は共起形容詞の顔ぶれに関して多種多様であった諸名詞が意味的な類似性を軸として、主に単一の形容詞と共起する方向にまとめられていく変化とみなしうる。 (2) 多くの名詞に対して共起率が顕著に減少した形容詞は「多い」である。これは、大局的には、一種の意味変化と考える余地がある。つまり、抽象的な量の大きさを表わす用法を縮小する方向への変化である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

尺度的な側面を有する名詞と、量的形容詞類・増減の動詞の組み合わせの用例に関する基礎的なデータの抽出と予備的な分析・考察、スクリプト作成についてはおおよそ計画通りに進捗した。それに加えて、当初は予定していなかったことであるが、168語の名詞に関して国会会議録を用いて、形容詞(今回は「大」の類)別共起傾向の推移を分析し、いくつかの新発見を行い報告することができた。

今後の研究の推進方策

1 本年度に抽出したデータに基づき、多変量解析を含めたさまざまな手法を用いた分析を行う。尺度的名詞と量的大小の述語・増減の述語との全共起用例数のデータの分析に基づき、それぞれの名詞を述語との共起の観点からグループ分け・特徴づけし、また、その反対に、それぞれの述語を名詞との共起の観点から特徴付ける。それにより、どのような名詞がどのような述語とよく共起するのかを説明する。多変量解析については試行の結果有意義と思われる結果が得られなかった場合は、一般的な共起パターン分析(共起比率に基づいた分析)を行うにとどめる。2 本年度に行った、当該コロケーションの前文脈・後文脈の特徴に注目した研究をさらに発展させ、統計的手法を用いて、前後文脈と名詞-形容詞結合パターンとの間に見られる関連を解明する。3 本年度に行った、国会会議録における「名詞-形容詞」コロケーションの通時的量的変化の研究をさらに発展させ、「小」の形容詞や増減の動詞との組み合わせにまで範囲を広げた調査分析を行い、総合的な観点からの説明を行う。4 有無・出現消滅の述語の基本的特性についてコーパスに基づいた調査を行い、それらにつていての研究の方向性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

研究範囲を当初の計画より拡大し、通時的な観点も含めたデータ分析・研究を行うため、次年度は、主として、「読売新聞データ集」の、早い年度の版を購入する予定である。また、成果の発表を行うため、研究旅費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 名詞と尺度的形容詞類の共起頻度の推移―国会会議録のデータから―2012

    • 著者名/発表者名
      服部匡
    • 雑誌名

      同志社女子大学大学院文学研究科紀要

      巻: 12号 ページ: 1-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 名詞と尺度的形容詞類の共起傾向の推移―国会会議録のデータから―2011

    • 雑誌名

      同志社女子大学学術研究年報

      巻: 62巻 ページ: 113-141

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 程度的な側面を持つ名詞とそれを量る形容詞類との共起関係―通時的研究―2011

    • 著者名/発表者名
      服部匡
    • 雑誌名

      言語研究

      巻: 140号 ページ: 89-116

    • 査読あり
  • [学会発表] 程度的な名詞と尺度形容詞類の共起傾向の推移2012

    • 著者名/発表者名
      服部匡
    • 学会等名
      第1回コーパス日本語学ワークショップ
    • 発表場所
      国立国語研究所(東京都)
    • 年月日
      2012年3月5日

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公開日: 2013-07-10  

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