研究課題/領域番号 |
23520481
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
竹井 光子 広島修道大学, 法学部, 教授 (80412287)
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研究分担者 |
吉田 悦子 三重大学, 人文学部, 教授 (00240276)
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キーワード | 国際情報交換(アメリカ) / コーパス / 外国語教育 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、日米大学の連携によるコンパラブルコーパスの構築とその分析結果の外国語教育(英語・日本語)における活用方法の検討である。初年度(平成23年度)に英語母語話者コーパス(ENS)、英語学習者コーパス(EL)、日本語母語話者コーパス(JNS)、日本語学習者コーパス(JL)の4つのサブコーパスから成るデータの収集および予備分析を完了し、平成24年度にはその分析作業および結果の集計作業へと移った。 分析においては、既に収集済みであったデータのうち、題材としたPinguビデオのエピソード1つ分について、分析基準の整備と詳細な分析作業を行った。対象としたデータは、ENS-38、EL-62、JNS-62、JL-38で、データ提供者ごとに第一言語および第二言語の両データがそろっていることを条件に絞り込んだものである。分析については、談話レベルの言語現象である照応関係に焦点を当て、照応表現と談話の一貫性に着目したセンタリング理論(Centering Theory, Grosz et al., 1995)によるモデル化を目指したが、センタリング規則による分析の効率化を図るために開発した「センタリング分析補助システム」の活用によってさまざまな視点での集計結果の比較が可能となった。 母語話者データと学習者データ(JNS-JL, ENS-EL)の比較による外国語教育(日本語・英語)への示唆をまとめることに加えて、第一言語と第二言語の比較の視点(すなわち母語の影響)を組み入れることで得られる示唆に注目していくこと、サブコーパス全体の集計分析にとどまらず個々のデータ提供者の傾向や特徴を検証していくことで、さらに研究を深化させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(平成23年度)に収集が完了した4つのサブコーパスからなるコンパラブルコーパスを分析する作業に入り、4つのサブコーパス(EL, ENS, JL, JNS)すべてにおいてほぼ予定通りに分析を完了することができた。さらにサブコーパス間の比較のための集計や統計処理も完了した。 分析から得られた教育的な示唆について、平成23年度には、JNS-JLの比較分析に基づく発表を日本語教育関係の学会で行い、平成24年度はENS-ELの比較分析からみられる学習者傾向に焦点を当て応用言語学の学会BAAL (British Association for Applied Linguistics) 2012 Conferenceにおいて発表を行った。これに第一言語と第二言語の比較の視点(すなわち母語の影響)を組み入れた発表を行うための準備に取りかかっている。 また、研究交流の結果として、Pinguビデオを題材としたストーリーテリングの対話データを入手共有することができた。本研究課題のデータである書き言葉(談話データ)を話し言葉(対話データ)と比較することで見えてくるものについても期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は最終年度であるため、これまでの分析の総括となる研究発表を目標としたい。日本語教育・英語教育の枠を超えて、同条件のもとに収集した4つのサブコーパス(JNS, JL, ENS, EL)から成るコンパラブルコーパスを有する利点を生かした分析へと発展させる予定である。国内学会の年次大会、応用言語学(外国語教育)の国際大会、計算言語学の国際大会などでの発表(および論文執筆)を念頭において計画中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者および研究連携を行っているアメリカの大学の研究協力者(ウィラメット大学藤原美保教授)とともに共同発表を行うための出張旅費の使用や打合せのための招聘費用が中心となる予定である。 また、研究成果の発表のために、分析集計結果のデータ処理・整理を行うための人件費(研究協力謝金)、英文校閲のための謝金も引き続き必要となる。
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