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2013 年度 実績報告書

ムンダ語のクレオール化メカニズムに見る,言語構造の歴史的変化に関する類型論的考察

研究課題

研究課題/領域番号 23520488
研究機関茨城大学

研究代表者

藤井 文男  茨城大学, 人文学部, 教授 (40181317)

キーワード言語の類型 / 言語の普遍性 / 言語の系統 / 言語の歴史的・地理的変化 / 言語接触 / クレオール化 / アジアの諸言語 / 言語学的フィールドワーク
研究概要

13年度も過去二年と同様、東インド Jharkhand 州に赴いて行なう現地調査が中心だった。ムンダ語との取り組みは既に歳を重ね、この言語に特化した本研究も三年目を迎えて記述の中心だった文法構造は相当部分が明らかになってきており、最終年度はこれまで洩れていたデータの収集に注力し、未解決だった幾つかの構造上の問題解明に焦点を当てる活動を行なった。
具体的には次のような、これまでは茫洋としていた: 過去時制 ("Preterite") に於ける len-/led-“無標”vs. ken-“強調”、他動詞の“自動詞化”による: ked- "Perfective" vs. ken- "Preterite" といった体系的対立構造を明らかにすることで、transitivity はアスペクトの問題のみならず語用論的機能とも大きく絡んでいる実態を浮き彫りにしたし、ムンダ語に特徴的な繋辞の対立 mana-“存在”vs. tan-“同定”も non-topical vs. topical という語用論的対立を体現していると解釈することで極めて整然とした理解が可能となった。また、表層は kul ‘to send’ の如く特段の標示のない動詞語彙も、kitab ‘book’ を“補語”とする場合は Benefactive を対格目的語とできないのに対し、cithzi ‘letter’ が用いられると受取人を対格で表現できるといった“珍妙”な現象も、問題を単純な意味論的考察を超え、統辞体系全体に位置づけることでムンダ語の構造的体系性は極めて整然と浮き上がる。
やはり科研費の補助によって公刊するに至った、この言語が示す文法体系の根幹を成すとも言える文法上の一致に関する単行本と共に、上述したような個別の言語構造上の幾多の謎を解明することで、本研究は当初の目的を十二分に達成できたと言えよう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 動詞中置はクレオール化に於ける必然なのか?

    • 著者名/発表者名
      藤井 文男
    • 学会等名
      日本言語学会
    • 発表場所
      茨城大学
    • 招待講演
  • [図書] ムンダ語に於ける Grammatical Agreement から見る言語の“構造的機能性”2014

    • 著者名/発表者名
      藤井 文男
    • 総ページ数
      xii + 240
    • 出版者
      現代図書

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公開日: 2015-05-28  

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