研究課題/領域番号 |
23520489
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
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キーワード | 文理解 / 関係節 / ワーキングメモリ |
研究概要 |
言語理解中にワーキングメモリが軽減される構造(関係節)とされない構造(wh疑問文)についての実験結果を以下の通り、国際学会で発表するためにまとめた。 1)前年度の実験結果を国際学会(Cognitive Science Society 2013)で発表した。近年、主語目的語(例:「太郎を見た学生」では「学生」が主語)と目的語関係節(例:「太郎が見た学生」では「学生」が目的語)の理解の違いについて、ワーキングメモリまたは出現頻度によって説明することが多い。しかし、今回行った日本語の読み時間と文完成課題の実験結果は、ワーキングメモリと出現頻度からでは説明ができないため、新たな要因としてObS (Object before Subject)を提案した。ObSによると、統語構造に従って、関数(述語など)が目的語と意味関係を結んでから主語と関係を作るのが自然であるため、主語関係節の方が目的語関係節よりも処理時間が速い。 2)新しい実験の実行・解析を行い、結果を26年度5月に行われる国際学会(FAJL - Formal Approaches to Japanese Linguistics)で発表することになった。先行研究の多くはwh疑問文(「何」、「どの本」などが入っている疑問文)の処理を文脈なしで行っているため、語用論などの影響がはっきりしなかった。しかし、今回の読み時間の実験では、語用論を用いてでは説明できない結果が得られたため、以前より提案されてきたワーキングメモリによる説明を支持する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験協力者が十分に集まらなかったため、実験の予定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)実験協力者募集期間を普段よりも大幅に延長し、実験を複数回行う予定である。2)分散分析の代わりに、混合効果モデルを使用して過去の実験結果を再度解析する。3)今年度収集したデータを含めて、今までの結果によって今後の進め方を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験協力者が十分に集まらず、実験実行の計画が遅れているため。 1)実験協力者募集期間と実験期間を大幅に延長するため、実験担当の大学院生の短期雇用を増やす予定である。また、実験協力者への謝礼の金額も増やす予定である。2)機材(パーソナルコンピューター、ソフトウェア等)が古くなってきているため、新しいものに買い替える予定である。
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