研究課題/領域番号 |
23520489
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / wh疑問文 / 読み時間 / 曖昧性 |
研究実績の概要 |
(I) wh疑問文(例:「何」、「どんな料理」が入っている疑問文)を利用した実験を行って、国際学会(FAJL7 - Formal Approaches to Japanese Linguistics)で発表した。先行研究では、文脈なしで質問だけの読み時間(または産出の仕方)が注目されたが、今回の実験では、文脈を含めて、疑問文中とその後の答えに対しての読み時間を測定した。例えば、「元気君が どんな料理を 作ったか 拓は 答えたの? 」は曖昧で、答えとして「答えたよ」または「ハンバーグ」が可能。記憶(ワーキングメモリ)の制限によると、前者の解釈が、比較的に記憶の負荷が少なく、優先されるはず。 一つ目の実験結果(文中と答えに対しての読み時間、また文書全体の自然さ)では、先行研究と同様で、記憶に負荷が比較的にかからない解釈(「答えたよ」が可能になる解釈)が優先された。これは、記憶の制限の予測と一致する。 理論言語学の先行研究によると、語順を変えた場合(「どんな料理を 拓は 元気君が 作ったか 答えたの? 」)、記憶に負荷がかかる解釈(「ハンバーグ」が答えになる解釈)が優勢されるはずだが、二つ目の実験の文全体の自然さと答えの読み時間によると、記憶に負荷がかからない解釈の方が優先された。ただし、文中の読み時間では、異なったパターンが見られたため、今後この結果を踏まえて、理論言語学と文中の読み時間について検討する必要がある。
(II) タイ語の実験を行って、国際学会(28th Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation)で発表した。関係説の理解で、記憶の制限とは異なる結果が得られたが、その後方法に問題があることが明らかになって、実験を再度行った結果、記憶制限のとおりの解釈が優先された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
刺激文の文脈を作成する際に、修正が何回か必要になったため、実験のやり直しが続いて、予定が若干遅れた。今回の文脈で実験ができることがわかったため、今後の実験は予定通りに行われるはず。
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今後の研究の推進方策 |
26度の実験を再度行って、語順が疑問文にどのように影響するのかを検討して、理論言語学と文中の読み時間の関係を明らかにしていく予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の刺激文作成をやり直す必要があったため、実験の予定が若干遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に予定していた実験を27年度中に行い、その費用に充てる予定である。
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