研究課題
最終年度はイテリメン語南北方言語彙データベースの編集と公開を行った。具体的には (1) これまでに出版された語彙データの整理と分析; (2) 南北方言語彙の比較; (3) 音声データの収集およびデータベース用音声の加工; (4) 語彙データベースと音声データの統合という方法により遂行した。データベースでは南北方言による語彙の比較ができるほか、音声の確認、例文の参照、音節構造の検索ができるように工夫した。研究期間全体を通じて、本研究では過去に記録された語彙データおよび既に出版された言語資料から語彙データを整理・分析し、さらにロシア連邦カムチャツカ地方におけるフィールド調査を実施して、新たにイテリメン語北部方言の語彙を記録・収集した。具体的には、ロシア科学アカデミー言語学研究所にて収集した1930-1970年代の手書き資料のデータ構造の解析を行い、手書き文字の読み取りとデータの入力を行い、平行して過去に収集したさまざまな形式の語彙データ(古いワープロソフト、表計算ソフトなど、フォントや文字コードが異なるデータ)をUnicodeでエンコードし直して、データ形式と構造の統合を行った。フィールド調査では、ロシア・カムチャツカ地方チギリ地区チギリ村にてイテリメン語話者の協力により、延べ45時間分の録音音声資料を得た。これら古いデータと新しいデータを統合し、南北方言語彙データベースを構築して、イテリメン語南北方言における語彙の比較研究を行い、その成果を小野(2014)として発表した。構築したイテリメン語語彙データベースは、イテリメン語のキリル表記とラテン表記の両方で確認でき、英語・ロシア語・日本語で検索できるシステムとして、インターネット上で誰もが見られるように広く一般に公開した。
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Acta Linguistica Petropolitana,
巻: 13 ページ: 未定
http://cas-chiba.net/fareast/ltelmen-search.html