研究課題/領域番号 |
23520494
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石井 正人 千葉大学, 文学部, 教授 (50176145)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 西洋古典学 / 言語学 / ラテン語学 / 独語 / 歴史言語学 |
研究概要 |
本研究は、印欧語における非人称受動表現を、特にそれが発達しているドイツ語とラテン語を中心に、適宜サンスクリット語と古代ギリシャ語を参照しつつ比較考察し、その本質的構造と展開諸形態を明らかにすることを目的とする。 研究初年度である平成23年度は:1)ドイツ語史における非人称受動表現の分析を行う、2)Ciceroを中心に古典ラテン語における非人称受動表現の考察対象を広げ、理論的枠組みの確立を試みる、ことを目的とした。 1)古典ラテン語における非人称受動表現については、従来のCaesarの用例を中心とした業績にCiceroからの用例の分析を加えて発展させた論文「ラテン語の非人称受動表現について」を発表した。 2)ドイツ語における非人称受動表現については、現代ドイツ語の言語文化史における非人称受動表現の用例が予想外に豊富であり、これを新資料として発見する一方、現代ドイツ言語文化におけるその重要性を確認し、新たな研究プロジェクトへの発展の可能性の探求も含めて論文「Man isst, was auf den Tisch kommt.」(日本語)を発表の予定で、現在印刷中である。 3)本科研費を使用して、日本歴史言語学会の創立に参画し、大阪大学における第1回大会の運営に参加した。従来一堂に会する機会の少なかった優秀な歴史言語学者と研究交流を行い、テーマの深まりをみた。更に研究交流が発展し、本科研費プロジェクトと同学会の共催で本年度に第2回大会を私の本務校である千葉大学で開催することが内定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)ラテン語とドイツ語の非人称受動表現については、それぞれ論文を得て、前者は既に発表、後者は印刷中である。 2)加えてドイツ語については、新資料の発見と新たなテーマの展開を確認したので、現代ドイツ言語文化におけるモダリティとディアテーゼの重要性について新たなプロジェクトの創設の可能性を検討している。 3)更に学術交流を進め、日本歴史学会の創立に参画したばかりでなく、第2回大会も共催で行う予定である。 1)で十分に当初の目的を達成している上に、2)研究内容においても、3)学術交流においても予想以上の成果を上げたので、上記の達成度を自己評価として提出する次第である
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今後の研究の推進方策 |
1)ラテン語の非人称受動表現について、第2回日本歴史言語学会で発表し、同学会誌に論文を発表する。 2)現代ドイツ言語文化史におけるモダリティとディアテーゼの重要性について、日常表現や表層文化のテキストにおいて更に資料を収集し分析考察する新たなプロジェクトの可能性を探究する。 3)サンスクリット語における非人称受動表現について、さらなる資料を収集して分析考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)紙媒体の資料の他に、大量の電子データの処理がますます必要になるため、電算機器並びにその周辺機器購入のための物品費が予算使用の中心となる。 2)日本歴史言語学会第2回大会を同学会と本科研費プロジェクトとの共催で私の本務校である千葉大学で開催するため、打ち合わせのための旅費・宿泊費、大会会場費、手話通訳者謝金、補助作業謝金、資料代等が必要になるが、予算の50パーセントを超えない範囲で十分にまかなえる。
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