研究課題/領域番号 |
23520495
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂原 茂 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40153902)
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キーワード | 国際情報交換 / フランス |
研究概要 |
昨年度は,前年度に続き,従来の冠詞研究についての代表的研究を収集・整理・分析し,研究すべき問題を明らかにし,本研究の理論的位置づけをさらにはっきりさせることができた.フランス語とロマンス諸語の対照研究では,スペイン語からカタロニア語,イタリア語についても調査を行い,本研究の理論的基盤が確固なものとした. 具体的な成果としては,坂原茂(編著)『フランス語学の最前線 1』(ひつじ書房)を刊行し,その中に「フランス語コピュラ文の解釈と属詞の冠詞の有無」を発表した.この論文は,本研究の課題をフランス語のみならず,スペイン語,カタロニア語にまで視野を広げて対照言語学的アプローチを展開して,隣接分野の研究者と貴重な意見交換ができた.また,「トートロジ・ワークショップ」(東京大学)を組織し,そこで基調講演と,「トートロジの語用論とトートロジの分類」の発表を行った.トートロジは,コピュラ文の特殊形態であるとともに,フランス語の場合,冠詞研究にきわめて示唆に富む研究が可能であることが確認できた.このワークショップは,フランス語研究者を中心に,日本語研究者,モンゴル語研究者なども招き,非常に興味深い議論が交わされた.その成果は,今年度中にひつじ書房より刊行される予定である. 以上のように,昨年度は,成果の刊行,ワークショップの開催などで,フランス語学および隣接分野の研究者のコピュラ研究に対する関心を集めることができ,有益な研究活動ができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始2年目にしてすでに研究成果の刊行ができ,さらにワークショップの開催を行い,すでにその成果の刊行が準備されている.またカタロニア語,イタリア語のデータの分析を通して対照言語学的アプローチの深化が可能になるなど研究は順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
・先行2年間の研究計画を継続し,特定の意味現象に関するデータに不足があることが分かれば,データ収集を継続し,できるだけ有意義データベースを完成させる. ・データの分析をさらに進め,包括的な理論構築に着手する. ・国内,海外での何回かの研究発表を行い,理論の適切さをチェックする.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費30万円は,コピュラ文,冠詞関係図書の購入に使う.旅費40万円は国内・海外の研究発表旅費に使う.人件費・謝金10万円はデータ整理の手伝い謝金に使う.
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