研究課題/領域番号 |
23520496
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
上田 広美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60292992)
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研究分担者 |
岡田 知子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70292993)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | クメール語 / テンス / アスペクト / 対照研究 |
研究概要 |
初年度である平成23年度は、研究代表者・分担者による第1回研究会(東京外国語大学)で調整した3年間の研究の全体的なスケジュールに基づいて、海外共同研究者との打ち合わせ、近年のクメール語資料の選定および収集、収集した資料のデータ化、機材の購入を行った。また、既に蓄積された資料の分析を進め、本テーマについて雑誌論文2件を発表し、本テーマの外国語教育への応用について研究会で発表1件を行った。海外調査は、11月にカンボジア(王立プノンペン大学)及びタイ(国立カセサート大学)において、海外研究協力者との打ち合わせと資料収集を行う予定であったが、タイでは、洪水のため共同研究者が在籍する大学も被害を受けたため、打ち合わせを翌年度に延期し、平成23年11月19日~平成23年11月24日、カンボジアのみを訪問し、テンスもしくはアスペクトの表現が含まれているクメール語資料を収集した。具体的には、図書、定期刊行物等の各種の文体の文献を選定して購入するとともに、被験者の許可を得て、日常会話の音声データを収集した。また、カンボジア王立プノンペン大学外国語学部及び同大学人文社会学部を訪問し、収集した資料を分析するための参考として、現在の言語状況の中でテンスやアスペクトの表現がどのように表層化されているかについて、海外研究協力者であるVAN Sovathana氏と意見交換をした。さらに、日本語とクメール語のテンスとアスペクトの表現がどのように異なるかを分析するために試訳した王立プノンペン大学のための日本史教科書のクメール語版について、王立プノンペン大学外国語学部日本語学科長のLOCH Leaksmy氏に助言を求めた。収集した音声データは、文字データとして変換し、翌年度以降の用例収集のために整備した。さらに、翌年度以降の用例収集のため、自伝的資料の翻訳作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた、カンボジアでの海外研究協力者との打ち合わせ、近年のクメール語資料の選定および収集、収集した資料のデータ化、翻訳資料の整備、機材の購入は予定通り達成した。また、研究成果についても、雑誌論文2件、研究会発表1件を行った。予定通りに達成できなかったこととして、タイ国の洪水被害のため、海外研究協力者の在籍する大学も被害を受け、訪問することができず、翌年度に延期した。平成24年4月から5月に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目である平成24年度は、初年度に収集したクメール語資料の用例から時制を明示する表現についての調査を行う。また、初年度に翻訳資料を整備した自伝的言語データの分析を行う。海外調査は、昨年訪問ができなかったタイ国(国立カセサート大学)の海外研究協力者(Soysuda NARANONG氏、Bussaba BANCHONGMANEE氏)を4月から5月にかけての早い時期に訪問し、クメール語よりも日本語との対照研究の進んでいるタイ語についてテンスとアスペクトの表現がどのように翻訳されているかを調査する。また、年度後半にはカンボジアでの調査を行い、初年度の研究結果としての翻訳資料の用例分析について海外共同研究者と意見を交換し、追加のクメール語資料を収集する。前年度に収集したクメール語資料中のテンスとアスペクトを表す表現について用例分析を行うとともに、翻訳した自伝的資料について翻訳可能性についての分析結果をまとめ、テンスとアスペクトを明示する表現についての言語資料と分析結果を資料集として印刷・製本する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に引き続き、本研究に必要な先行研究及び資料となる書籍を購入する。また、消耗品として、データ整理に使用する記憶媒体、ソフトウエアの他、報告書作成に必要な出力用印刷用紙、プリンタ用インクトナーを購入する。外国旅費は、昨年度予定していたタイでの調査を年度前半に行い、年度後半にカンボジアでの2年目の調査を行うため、研究代表者、分担者2名分の旅費を支出する。また、海外調査時の協力者への謝金、収集した資料の整理、例文収集用のコーパス作成のためのデータ加工の外注費、資料集の印刷製本費用を支出予定である。
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