第四段階として、「ヴォイス(態)を表す機能構文(使役、受動)に関わる機能形成」について考察を進めた。 手順と方法としては、使役・受動構文を形成する語彙の盛衰と機能義の関係を明らかにし、文法的な機能を帯びる過程で、変遷の歴史上どのようなプロセスを経たかを調査した。“被”構文の構造を「意味上の受動者(S)+“被”+意味上の動作主である(Np)+動詞(V)+その他の成分」とした場合、動作主(Np)の有無によって大きく構造が2つに分類されるが、この点を含めた構造のターニングポイントに関しては、唐代の『敦煌変文』辺りと見られ、大きくは次のような変化が見られる。①動作主(Np)を用いることが普遍的になる。②動詞の後ろに別の賓語をとるようになる。③動詞に様々な形式の補語が付帯するようになる。④状語が多様化する。受動義を持つ“被”の多様な構文は、この頃に最も複雑に発展し、現代漢語まで続く粗方の基本的構造は成立しつつあったと考えられる。 そこでこの4点を中心に分析を進めた。また、構文内部の構造として元明清期の介詞の確認すべきポイントとして、「a.文成分の役割分担の細分化と明確化。b.介詞のある文の構文の序列の複雑化。」等を考慮にいれ、機能構文(使役、受動)の構造変化を整理した。
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