動詞には虚化し実質的動作行為の意味が希薄になり文法的な機能を帯びるものがある。これにより①介詞という新たな品詞が生じる。②特殊な動詞が兼語式により使役や受動の機能構文を構成する。③補語としての文成分の役割を担う。④動作量を表す補語の概念から重畳形式に発展する等の現象が発生する。これらは相乗的に作用しa.形態変化の乏しい漢語の文構造に変化を与え構文を複雑化する、b.使役受動の両機能のヴォイスを有する構文が出現する、c.補語の発達により動補構造の重心が逆転し機能義が変化する等、漢語の近現代化に影響を与えた。漢語の形態、構文、機能の変遷を解明すべく動詞の演変という観点から通時的・共時的研究を行った。
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