研究課題
本年度は、昨年度に引き続き、日本の公共空間で頻繁に目にする定型表現の収集を実施し、データの充実を図った。日本語のデータと対照するドイツ語圏のデータは、本年度末に実施する予定であったが、日程調整がうまくいかず、次年度の4月に実施することにした。したがって、データの対比は次年度となる。しかしながら、本年度は、交通標識の説明表現(たとえば、「指定方向外進行禁止」と「Vorgeschriebene Fahrtrichtung」など)を日独当該官庁が公開しているインターネットサイトを利用して収集し、比較を実施した。その結果、1) 日独で対応するもの、2) 日本にあってドイツにないもの、3) 逆に日本にはないが、ドイツにあるものの3種があることがわかった。本年度は、1)の日独で対応する交通標識に限定して比較を行なった。その結果、規制標識が29例、警戒標識が19例、指示標識が4例見つかった。交通標識という法規的説明表現においても、日独で異なる視点から形成されている例が確認された。たとえば、通行できる車両の重量、高さ、幅を限定する標識に顕著に認められた。その1つの重量を例にとると、日本語では「重量制限」というように単純であるが、ドイツ語では「Verbot fuer Fahrzeuge ueber angegebenes tatsaechliches Gewicht」のように機能(「Verbot(禁止)」)や対象(「Fahrzeuge ueber angegebenes tatsaechliches Gewicht」)が明確に述べられていることがわかる。しかも、表現形成の視点もそれぞれ、状況内と状況外という一般的な違いも確認できた。したがって、法律的な表現においても、日独で好まれる表現傾向があることがわかった。
3: やや遅れている
ドイツでの調査が、日程が合わず、次年度になってしまったために、ドイツの公共空間での看板等のデータが不十分である。
今年度に実施予定であったドイツ調査が日程の都合がつかず、実行できなかった。したがって、次年度はまず、4月にドイツ語圏に出張し、日本で収集した定型表現に対応するドイツ語表現を収集する。そして、そのデータを比較し、異同を明らかにする。その成果は、国際学会を中心に発表する。
ドイツ語圏に定型表現の収集に出張するので、その調査費として、外国旅費を使用する。また、次年度は、本研究の最終年度にあたるので、日独対照の研究成果を日本および海外で発表するため、さらに国内および外国旅費を使用する。
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Intercultural Communication Studies
巻: XXII (2) ページ: in press
『ドイツ文学論集』
巻: 45 ページ: 33-46
『かいろす』
巻: 50 ページ: 18-31
『語彙研究』
巻: 10 ページ: 1-12