研究課題/領域番号 |
23520510
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 秀行 山口大学, 人文学部, 准教授 (10241754)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | エチオピア / 少数言語 / バスケト語 / 母語話者 / 教材作成 |
研究概要 |
エチオピアで話されているオモ系少数言語バスケト語母語話者教材作成のために、文字資料およびその音声資料の収集を行った。彼らは学校で母語による教育を受けていない。そのような言語が将来生き残るために、母語教材は重要な役割を果たすと思われる。調査者がここ数年調査に協力いただいているフィクレ・デジェネ氏から、約1000語の基礎語彙(名詞、動詞、形容詞)を収録し、そのうち動詞と形容詞に関しては、例文として収録している。今回それらを音声録音し、英語、アムハラ語訳を付けた。またエチオピアで出版されているDVD付のAmharic Phrasebook Dictionaryを基にして、バスケト語会話文を約200収集し、それにはアムハラ語表記を行った。文字を使わない少数民族にとって、どのような正書法を用いるかは、重要な選択である。複数の海外研究者と意見交換したところ、エチオピア人研究者からはアムハラ文字による文字表記、ヨーロッパ人研究者からはローマ字による文字表記が相応しいとの見解をいただいた。個人的には、ローマ字表記の方が解りやすいと考えているけれども、現時点では同時並行で教材作成を進めている。母語話者が音の違いを認識するために、簡単な単語による最小対語のリストを作成した。文字を知らない子どもには、図入りで説明することが大切との認識に立ち、なじみ深い単語(たとえば動物や食べ物)に絵を入れることを検討している。本研究の付随する目的として、エチオピアを訪れる様々な研究者やボランティアに従事する人のために、少数言語教材を作成することがある。エチオピアには80を越える言語が話されているので、どの言語にとっても汎用性の高い日本人向け教材を作成するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、母語教材のための資料収集を第一課題としたが、様々な形の資料(音声資料付)を集めることができ、その目的はほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
エチオピアに7月末から約2ヶ月訪れ、バスケト語母語話者が暮らすバルタ村(インフォーマントの生地)に行き、小学校および教会にこちらであらかじめ用意した母語教材(試作品)を渡し、実際に利用してもらい、その問題点を明らかにする。日本帰国後に母語教材の作成に取りかかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
エチオピアに持っていくためのデモ版母語教材を作成する予定で23年度に計上していた10万円あまりの費用でデモ版母語教材を作成する。エチオピアへ渡航し、首都アジスアベバからレンタカーを使ってバスケト語母語話者が住む地域へ移動する。調査の過程で必要となった資料をさらに収集し、日本帰国後、収集した資料を整理して、改良した教材を作成する。併せて日本人向けの少数言語教材の制作を行う。
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