研究課題/領域番号 |
23520510
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 秀行 山口大学, 人文学部, 准教授 (10241754)
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キーワード | エチオピア / 少数言語 / バスケト語 / 母語話者 / 教材作成 |
研究概要 |
文字を持たないエチオピアで話されているオモ系少数言語バスケト語母語話者のための教材の第一作として、インフォーマントであるフィクレ・デジェネ氏と共に「文字・単語編」「会話編」「例文編」の3つを作った。それらはバスケト語(ローマ字使用)以外にアムハラ語(アムハラ文字使用)と英語の対訳を付けた。 エチオピア南西部にあるバスケトの小学校3校に訪れたところ、SILと地元教会および高校教員が協力して数年前に作成したアムハラ文字を用いたバスケト語教材を使って母語教育を行っているけれども、単語表記に誤りが多く、また文法的説明もほとんどないため、十分な教育ができていないとの報告を受けた。そこで小学校および教会に、ローマ字表記の本バスケト語教材を配布して、実際の授業で使うことで、その利便性や問題点を出してもらうように依頼した。その結果、音声データを付けるよりも単語を絵で表現することが求められた。 文字を持たない少数民族が自国で通用するアムハラ文字を選ぶのか、それとも正確に音声表記が期待できるローマ字表記を選ぶのかについては、現時点では、アムハラ語表記よりもローマ字表記の方が母語話者にとっては役に立つとの見解がインフォーマントおよび学校関係者から寄せられている。そのことを踏まえて、最終版作成に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母語教材の試作品を作り、バスケト地域の小学校及び教会に配布して、実際に使用した感想を聞いたので、その目的はほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
エチオピアに8月初旬から約1ヶ月滞在し、バスケト語母語話者が暮らす小学校に行き、改訂版の母語教材を渡し、特に問題がなければ、後日国際郵送で小学校の教材として必要部数送ることになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
絵入りの教材を作成し、8月にバスケトを訪れ、最終版で修正すべき点を確認して帰国した後、母語教材の完成を目指す。またその一部は日本人研究者向けにネット上に公開する予定である。
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