研究課題/領域番号 |
23520514
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
高橋 慶治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
|
キーワード | キナウル語 / チベット・ビルマ語 / 西ヒマラヤ諸語 / 連体修飾 / 形容詞 / 名詞 / 比較級 |
研究概要 |
2012年度は、本研究申請時の計画通り、これまでの資料の分析に基づき、現地調査の準備を行い、本研究費では3月に現地調査を実施した(研究協力者として参加している他のプロジェクトの研究費で12月にも調査を行った)。この調査で、形容詞および名詞による連体修飾の例を収集できた。 形容詞が名詞を修飾する場合は、形容詞が名詞に前置される。このとき、通常形容詞はそのまま名詞に前置されるが、特定の接辞を取ることによって特別な意味を表す。この接辞は、名詞が名詞を修飾する際にも現れる。ただし、これは所有を表す場合ではない。 また、この接辞は、名詞化された動詞にも付加される。ただし、名詞化された動詞に付加されるとき名詞化の接辞と考えられる要素と発音が融合していると考えられる部分があり、この分析についての証拠となる資料はやや不完全と思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第2年度は、形容詞および名詞による連体修飾を中心に資料を集める計画であり、基本的には計画通り研究が進んでいる。ただし、形容詞や名詞による連体修飾は、形式的には比較的単純であって、状態性が関わる動詞による連体修飾に比べて、その用法の細部についてはかえってまとめにくい点もあることがわかってきた。また、名詞化された動詞に付加される形式については、「概要」で述べたとおり、資料がやや不完全と思われ、この点についてはさらに資料を集めなければならない。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、計画通り、キナウル語の連体修飾について考察を深める。ただし、「概要」「達成度」で述べたとおり、名詞化された動詞に付加される連体修飾を表す接辞については、その考察のためにさらに資料が必要である。また、「達成度」で述べたように、形容詞および名詞による連体修飾については、形式的には分析が容易であると考えられるので、本研究では、形式的な分析に重点を置く。用法の細部については、それぞれの形容詞や名詞の意味的な性質を知ることによって分析が進むと考えらるので、本研究の後に続く、形容詞や名詞の意味的な分析を別途進めることによって深めていきたい。 したがって、本年度は、連体修飾の分析について考察しつつ、最終的な論考のために不足する資料を年度末に予定している調査で収集する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これまでのところ、研究はほぼ計画通り順調に進んでおり、2013年度において、これまで収集した資料の分析を進めるとともに、資料の収集のための現地調査を行う。今年度は形容詞の連体修飾を中心に研究を進めるので、その点に関連する書籍を購入するなど、公刊された資料の収集、および例年通り、年度末に予定している現地調査によってキナウル語の一次資料を収集する。なお、調査は12月と3月の2回行えるものと考えている。研究費は、現地調査のための旅費、資料購入や資料整理のための文具購入などにあてる。
|