研究課題/領域番号 |
23520515
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
長沼 圭一 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (90514646)
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キーワード | 仏語学 / 不定名詞句 / 内包 / 属詞 / 総称 / 非特定的 |
研究概要 |
平成25年度は、フランス語における非特定的解釈の不定名詞句UN Nについて、総称的解釈の不定名詞句UN Nとの比較から考察を行った。Je vais attraper un poisson.(私は魚を捕まえるつもりだ。)という発話においてun poissonという不定名詞句は二通りの解釈が可能である。一つは聞き手にとっては未知の魚であるが話し手にとっては既知の魚であるという特定的解釈、もう一つは魚であればどの魚でもよいという非特定的解釈である。この非特定的解釈の不定名詞句UN Nが、平成24年度に研究対象とした Un homme ne pleure pas.(男は泣いたりしない。)のような例に見られる総称的解釈の不定名詞句UN Nと大きく関連していることが見えてきたため、これら2つの不定名詞句UN Nの比較を行い、その共通点と相違点について考察を行った。この2つのタイプの不定名詞句は本質的には異なるものではなく、非特定的解釈のUN Nが主語の位置に現れた場合に総称的解釈が生じるに過ぎず、いわゆる総称的解釈のUN Nは非特定的解釈のUN Nの一変種であると考えられることを主張した。また、不定名詞句UN Nそのものが総称的解釈を持つことはなく、非特定的解釈のUN Nが主語位置に現れることにより、文全体に対し超時性、非出来事性が要求され、結果的に総称文として解釈されることになるという分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度については、非特定的解釈のUN Nを研究対象とし、細かな考察を行う計画であったが、平成24年度に研究対象とした総称的解釈のUN Nとの関連性が予想を上回って見えてきたため、その点を無視することはできず、非特定的解釈のUN Nについて予定していただけの詳細な分析にたどり着くことができなかった。そのため、研究期間を1年延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に計画していた、非特定的解釈の不定名詞句UN Nについての詳細な考察を行う予定である。総称的解釈のUN Nから離れ、非特定的解釈の不定名詞句UN Nの用例を集め、この不定名詞句が持つ固有の特徴について論じ、平成25年度に行った研究を補完することを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は非特定的解釈を持つ不定名詞句UN Nについて考察を行う予定であった。平成24年度に研究対象とした総称の解釈を持つ不定名詞句UN Nとの比較から研究を始めたところそこで一つの疑問が生じ、この段階で一考察を試み、一つの論考をまとめた。しかしながら、さらなる発展に向けた先行研究の調査や例文分析等を行うための時間が足りなくなってしまったため、実行に移せず未使用額が生じた。 非特定的解釈を持つ不定名詞句UN Nについてさらに発展的な研究を行うため、主に研究資料の収集に未使用額を充てる予定である。
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